高校3年時に全国トップ50の好成績を出した人は10年後の現在どうなっているのか。高校時代のエリート陸上選手の「その後」を追うと、8割はすでに競技を辞めていた。さらにトップ10の超エリートの場合、意外にもその比率は9割に上がる。一方、トップ50のうち約7割は大企業に就職を果たしている。アスリートとしてピークを過ぎつつある彼らは、いま幸せなのか、それとも不幸せなのか――。

長距離ランナー“東京五輪世代”の甘くない現実

高校スポーツ界には年間にいくつものビッグイベントがある。春・夏の甲子園(野球)、選手権(サッカー)、都大路(駅伝)、花園(ラグビー)、ウインターカップ(バスケ)、春高バレー……。憧れの舞台を経験した者は、ひとつの夢をかなえたと言ってもいい。その中でも有望な選手は次のステージに進むことになる。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/SasinParaksa)

野球でいえば、毎年100名前後が日本高校野球連盟に「プロ野球志望届」を提出する。日本野球機構(NPB)のドラフト会議では30~40名ほどの高校球児が指名を受けることになる。高校からいきなりプロに進み、スーパースターの道を突き進む選手がいる一方で、ドラフト指名で入団したのに一度も1軍に登録されることなく、ひっそりとグラウンドを去る選手もいる。そうした「格差」は、どの競技にも共通する甘くない現実だ。

▼2007年、高校3年「トップ10」のうち今も実業団で走るのは1人

今回、10年前に高校3年生の5000m走で、当時トップ10だった選手たちの「今」をクローズアップしてみたい。彼らは現在、28~29歳で、2020年の東京五輪が集大成ともいうべき世代。特に注目されているのは、この世代の選手が「マラソン」で活躍できるかどうかだ。

下記のリストはトップ10選手の「タイム」「名前」「高校」「その後の進路」である。

【2007年 高校3年生5000mタイムのトップ10】
(1)14分00秒8 鎧坂哲哉(広島・世羅)→明治大
(2)14分01秒50 柏原竜二(福島・いわき総合)→東洋大
(3)14分04秒25 八木勇樹(兵庫・西脇工)→早稲田大
(4)14分07秒56 矢澤曜(神奈川・多摩)→早稲田大
(5)14分09秒80 伊藤正樹(秋田・秋田工)→国士館大
(6)14分11秒45 三田裕介(愛知・豊川工)→早稲田大
(7)14分12秒11 松原健太(島根・出雲工)→東京農業大
(8)14分12秒55 中山卓也(兵庫・須磨学園)→早稲田大
(8)14分12秒55 奈良眞太郎(宮城・東北)→日本体育大
(10)14分13秒19 刀祢健太郎(山口・西京)→東海大