ハーフタイムを境に戦い方が大きく変わった

アドバンテージを生かしたのは、後半に入ってからだ。いったい、何が変わったのか。分かりやすいデータ(数字)が、ある。

▽前半<49%> ▽後半<67%>

日本がボールをキープしている割合、いわゆるボールポゼッションの率だ。確かに、前半のそれとは明らかに違っている。ハーフタイムを境に戦い方が大きく変わったと言っていい。

時間帯別(15分毎)のポゼッション率をみると、46分~60分=72%、61分~75分=69%、そして、76分から試合終了までが61%だった。反撃へ転じたいコロンビアから、肝心のボールを取り上げてしまったわけだ。

ハーフタイムに修正を施し、各選手がそれにうまく対応している。日本が十全に生かしたのは「数の優位」に伴う「場所の優位」だった。コロンビアのフォメーションは4-5-1。それが10人になってから、4-4-1に変わっている。中盤の枚数が1つ減ったわけだ。

ピッチから消えたのは、1トップの背後につけるトップ下のポジション。そこに「空白」が生まれた。目障りな存在(トップ下)がいないのだから、柴崎と長谷部(ドイスボランチ)はそこをうまく使えばいい。

パスワークの軸となった「司令塔」柴崎

さらに長友佑都と酒井宏樹の両サイドバックが高い位置を取って、マークにつくコロンビアの両ウイングを押し下げる。当然、1トップのラダメル・ファルカオが前線で孤立。しかも、ファルカオに対して、2対1の数的優位に立つ吉田麻也と昌子源の両センターバックの両脇に格好のスペースが生まれている。

あとは、その「空白」にタイミングよく潜り込んで、味方のパスを引き出せばよかった。とくに前半から巧みなポジショニングでボールを集めていた柴崎がパスワークの軸となる。その姿は、文字どおりの「司令塔」だった。

コロンビアの前線(攻撃陣)がボール保持者にほとんどプレスをかけてこなかったことも、日本の追い風になっている。攻撃のために体力を温存しようとしたのか、前半から反撃を試みたせいで早々と消耗していたのか――。どちらにしても、日本の選手たちには落ち着いてパスをさばく余裕があった。

そこでコロンビアのペケルマン監督はたまらずハメスを投入するが、コンディション不良のうえに、守備の局面で役に立つ選手ではない。日本からすれば、かえってボールをキープしやすい状況となったわけだ。

いくら攻撃力にすぐれた選手を並べたところで、ボールを奪えなければ、攻めようがない。しかも、相手は守備に奔走するぶん、ストレスが溜まり、体力も奪われていく。ゲーム終盤、コロンビアの反撃に従来の迫力がなかったのも「ガス欠」に陥っていたからだろう。