【伊藤】メッセージは完全に基本1対1で送り続けて、そこまで言うなら行こうかって感じになって、前日はオフィシャルでいこうと思ったから今度は一斉メールで「メールでみなさまお忙しいとは存じますが、万難を排して来てください」って送って、何人かから「万難を排してって言われると冠婚葬祭かみたい」って言われたけど(笑)。嬉しかったのは20人がヤフーで80人がゲストだったことです。当日欠席になったのは1人だけだったんですよね。平日の真昼間のしかも来年度を考える2月という時期に開催したのに……。それがすごく嬉しかったです。

普通のセミナーはディティールが先行しがち

【松嶋】“新しい事をやる”っていうだけのコンセプトでやったんですけど、ディティールはあの場で決まったというか。それで議題を掲げて、議題1つ1つに対してディティールを掘り下げていって発表しますというサイクル自体が、業界をぶっ飛ばして、縦割りを壊せば新しいものが生まれるってロジックに気づかせたわけじゃないですか。

【伊藤】そうそう。あれから頭が回っちゃってしょうがなくて、人を集めるのはこうやるといいのかみたいなのがどんどん出てきますよ。

【松嶋】普通のセミナーっていうのはディティール先行型になっちゃいますよね。

【伊藤】形式的ですね。

【松嶋】新しいから良いってわけではないんですが、あの方法は共創が生まれるなって思っていました。良い事だなと思いながら見てた。

【伊藤】いつか“日本はこのままじゃヤバイ”、みたいなタイミングが来ると思うんで、その時にあそこで一緒だったあの人が言ってるんだからやろうみたいな事ができるかが大事だなと思ってます。下手したら東京オリンピックが終わって、その後財政などもおかしくなっちゃってるし、一時期のギリシャのようになるのではないか、みたいな。でも、あの熱があるんだったら日本もよくなるんじゃないかなって気がします。

伊藤羊一(いとう・よういち)
日本興業銀行、プラスを経て2015年4月にヤフー入社。企業内大学「Yahoo!アカデミア」の学長としてヤフーの次世代リーダー育成を行う。グロービス経営大学院客員教授、株式会社ウェイウェイ代表として、ヤフー以外でも様々な活動に従事する。近著に『1分で話せ―世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』がある。
松嶋啓介(まつしま・けいすけ)
“KEISUKE MATSUSHIMA”オーナーシェフ。フランス芸術文化勲章、農事功労章シュバリエ。高校卒業後、辻調理師専門学校で学びながら、酒井一之シェフの“ヴァンセーヌ”に勤務。20歳で渡仏。フランス各地のレストランで働き、2002年25歳で南仏ニースに“Kei’s passion”をオープン。外国人シェフ最年少の28歳でミシュランガイドの星を獲得。
(写真=千々岩友美)
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