【伊藤】まるでリアクション芸人みたいに。“こう来たらこうやる”ってやっていると最後の最後に「一体自分がやってるの何だっけ」みたいな感じになっちゃう。だからやっぱりWhyが大事だって僕は言っているんです。ルーツって結局“それがよって立つ歴史”みたいなものじゃないですか。だからWhyって事と同じだとすると、僕がヤフーアカデミアで、いま一番みんなに足りないのはそのWhyを時間かけて考える事だって言ってるんですけど、まったく同じだと思いますね。
【松嶋】クリエイトってそういう事だと思うんですけど、こんなのを作ったらこれからの時代ウケると思ってコンセプトを考えていきますよね。こういうのを作ったら社会が前進できるかも、とか、みんながハッピーになるかもって新しいコンセプトを掲げてやり始めると。だけど、そこにまつわるディティールなんて最初何もないわけですよ。試行錯誤していって例えば車のような人を運べるものが出来たらいいなと思って作る。そこから少しずつ色々な技術を駆使しながらディティールをあれこれ探していっては試行錯誤してやっていく。車が出来上がった時に初めてそこに匠みたいなロジックがあるわけです。そのロジックが今度は新しい違うコンセプトになっていくこともあると思うんですね。
インスパイアとエヴォケーション
【伊藤】僕はそこに気づきましたよ(笑)。「AIDMA(アイドマ)の法則」ってありますよね。消費者の購買までの心理にはAttention(注意)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動=消費)の5段階があるというものです。アテンションは「これスゲー」みたいなのでいいわけですよ。次にインタレストは、たとえば<KEISUKE MATSUSHIMA>が原宿にあって、ミシュランの星がどうでってそこはロジカルなんですね。
僕はロジカルで人は動かないけど、インタレストのためには必要だと思う。でもディザイアの段階ではロジックを強調してもダメで、相手の中に“イメージを持たせて納得させる”のが大事。欲しいって思うのはたぶんロジックじゃなくて感情で、もっと言うと頭の中にあるイメージなのかなって思います。だから、プレゼンの時や人を説得する時も相手にイメージを持たせることが大事だとアカデミアでは言っているんです。
【松嶋】要するにインスパイアするって事ですよね。もう1つ僕がよく言ってるのはエヴォケーション。喚起させるって事なんですよ。
【伊藤】同じです。喚起させると頭の中のポイントを思い出す感じですよ。