孫正義の最初の発明は「自動翻訳機」

【伊藤】元々はヤフーの社員だけでやっていました。その頃は面白くなくて、ちゃんと成果は出るんですけどなんでこんなにつまんないんだろう、と思っていました。刺激が足りないのは同じ会社の人だけでやってるからなんですね。だからそういう多様性は大事ですね。そうしないとイノベーションにならないなって。“これとこれを繋げて”ってまともに考えて作るんじゃなくて、突然これとこれを繋げるから種が生まれるみたいな感じですよね。

松嶋啓介『「食」から考える発想のヒント やる気を引き出しチーム力を高める』(実業之日本社)

【松嶋】そうやって考えると、新しいものは頭で考えても生まれない。とりあえず放置して何か1つに閉じ込めたりすると生まれてくるものなんだと。

【伊藤】(ソフトバンクの)孫正義さんも最初に発明したのは“自動翻訳機”なんです。自動翻訳機をシャープに持っていって実際に製品化された。それが初めてのビジネスらしいのですが、とにかくコップとか砂糖とか、コーヒーとか色々な言葉を並べてくっつけて何かビジネスないかと最初に考えたそうなんですね。翻訳、ポータブルとかそんな事からそれを思いついたと。やはり何かを生み出す時はこれ対これの組み合わせみたいな。

【松嶋】生み出すというよりもそういう環境を作っちゃえば勝手に編み出されているか、生まれているから、それをどうピックアップするかが経営者に必要なのかなと思っちゃいます。

大事なのは“Why”

【伊藤】例えば、“これがダメだからこれを直す”みたいな事をやってしまうとします。どうしてそうなっているのかを考えずに“ここが傷んでいるからここを直そう”みたいな……。だから“Where”は考えるけど、いきなり“How”に飛んじゃうんです。HowはHowで結果正しいこともあるかもしれないけど、なぜこうなっているのかという “Why”を突き詰めようよって話をするんです。でもみんなの生活のペースがどんどん上がっていっちゃうとWhyを考えないで、これはダメだからやめておこう、これはいいからもっとやろうみたいな……。

【松嶋】小手先ですよね。