「自動運転技術が遅れている」は的外れな指摘
近年トヨタは「もっといいクルマづくり」をスローガンに掲げてきた。これは販売台数を追い求めるより、多少値段が高くても品質の良いものをつくろう、という方針だった。だが今後の米国市場の落ち込みをカバーしながら、新車開発や自動運転、電気自動車などの研究開発費用を捻出するには、改めて販売台数に意識を向ける必要があると感じている。
具体的には製造原価の低減に注力し、これまでよりも低価格で販売しても利益が出る体制をつくる必要がある。インドやタイなど、トヨタ車の品質と市場のニーズのズレが特に大きかった地域ついては、子会社のダイハツや、業務提携したスズキとのパートナーシップが重要になる。
なお、自動運転技術についてトヨタは遅れていると指摘する声をよく聞くが、それは的外れだ。自動運転には様々な形式があるが、法規制が決まっていない現状では、1つの技術に絞って注力することはリスクが大きい。どれがスタンダードになった場合でも対応できるよう全方位で投資をするトヨタの姿勢は、トップランナーとして間違っていない。