世の中に自分とまったく同じ価値観を持つ人はいない

僕と彼ら2人は言葉も通じなければ、国籍も、育った文化も異なります。彼らとは当然価値観の違いがありました。

酒井宏樹(著)『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』(KADOKAWA)

「そもそも価値観が違う相手とは本当の意味でわかり合えないのでは?」と感じる人もいるかもしれません。しかし、それは誤解だと思います。

フロリアンが「僕の活躍はヒロキのおかげ」とコメントしてくれるのも、レアンドロが「私と酒井は良いコンビだった」と言ってくれるのも、お互いにわかり合えた結果だと信じています。

世の中に自分とまったく同じ価値観を持つ人は存在しません。

生まれた環境はもちろん、見た目や性格、歩んできた道のりも違うわけですから、価値観はそれぞれ違って当たり前なのです。そのため、相手が誰であろうが、まずは価値観が違うという前提に立ってコミュニケーションを始める意識が大切なように思います。

「価値観が異なる=自分とは合わない」と、こちらが一方的に決めつけてしまえば、お互いの関係性はおろか、自分自身の器も広がっていかない。

どう歩み寄るかを考えることが大事

苦手な人がいる場合でも「あの人とはなんか合わないんだよな」と人間関係を嘆くのではなく、「自分の知らない考え方を持っている面白そうな人がいるな」とまずは前向きに捉えて、そんな相手に対して、どう歩み寄っていくべきかを考えると、いまより少しは楽しく感じるのではないでしょうか。

そうした考え方が日常的にできるようになれば、海外でありがちな人間関係のストレスはグッと減ると僕は思っています。

サッカーにおいても、これまでの自分のプレーを肯定したいがために「自分の価値観が絶対正しい」と思ってしまい、自分のサッカー観を相手に押しつけがちになる場合があります。でも、そのやり方では、押しつけられた側は、自分を否定されたように感じるので、本当の意味での信頼や連携は生まれないと僕は感じています。

酒井宏樹(さかい・ひろき)
プロサッカー選手、サッカー日本代表
1990年4月12日、長野県生まれ。千葉県柏市で育つ。柏レイソルU-15、U-18を経て2009年にトップチームへ昇格。2010年にJリーグデビュー。2011年にはチームの主力として活躍し、チームのJ1優勝とともに、ベストイレブン、ベストヤングプレーヤー賞を受賞。同年10月にはA代表に初選出される。本での活躍が評価され2012年にドイツ・ブンデスリーガのハノーファー96へ完全移籍。主力として活躍した後、2016年6月にフランスの名門オリンピック・マルセイユへ完全移籍。マルセイユ移籍後も確固たる地位を築き、不動の右サイドバックとして活躍。日本代表でも欠かせない存在として、2018年ロシア・ワールドカップでの活躍が期待されている。ツイッターアカウント:@hi04ro30ki
(撮影=千葉格)
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