しかし、ハノーファーはとても住みやすい街で、治安は良く、サポーターも優しく接してくれる人ばかりでした。その環境、その場所の良い部分に目を向けてみると、「日曜日にお店が営業していない」という不満は、不思議と気にならなくなっていきました。

また、日本では何事も正確なので「荷物があと10分で到着する」となれば10分できっちりと届きますが、フランスでは10分以上待っても届かないことが多いのです。

そこで荷物が届いたとき「10分と言ったのに20分もかかったじゃないか!」と怒鳴るようであれば、フランスで生活していくのは大変だと思います。

「10分ってさっき言っていたけど、多分20分はかかると思っていたよ」と笑って相手に伝えるくらいがちょうどいい。そういった意味では、僕はフランスに適応して「気長に待つ」ことができるようになりました。

僕がドイツからフランスへの移籍を決断したように、誰の身の回りにも環境の変化は起こるものです。

たとえば、転勤、社内の異動、転校、クラス替え、引っ越し……。その変化をストレスに感じるより、転校して新しい友達ができる、異動で新たなプロジェクトに参加できる、引っ越した先の街で好きなカフェを見つけるなど、変化自体をプラスに捉え、あとは新しい環境を楽しむ余裕が少しあれば、適応力は磨かれていくと思います。

撮影=千葉格

【習慣3】やらない自分を正当化する言い訳をしない

マルセイユでは、日々の練習や試合からチームメートの能力の高さを強く感じるようになっています。

ハノーファー時代にも、FCバイエルン・ミュンヘンやボルシア・ドルトムントのような、リーグ上位の世界的な強豪クラブとの対戦はありました。しかし1シーズンにホームとアウェーの2度の対戦だけでは、彼らの能力を感じる機会は少ないですし、どうしても対戦相手という目線で見てしまうため、力の差があっても彼らには負けたくない、力の差を認めたくないという気持ちが働いてしまいます。

しかし、マルセイユに来て、フロリアン(・トヴァン)やディミトリ(・ペイェ)、その他の各国代表選手のハイレベルなプレーを毎日目の当たりにしていると、彼らのような特別な才能と自分との実力差は相当な開きがあると認めざるを得ない。