そして、被験者の回答結果と、実際に行われた選挙の当選結果を比べてみたところ、2000年の選挙では73.3%、2002年は72.7%、2004年は68.8%という、高い割合で被験者に「見た目が有能そう」と判断された人が当選していました。
もちろん、選挙の当選者が必ずしも有能という訳ではありませんが、これは、いかに「見た目のイメージ」が大切かということが分かる実験でもあります。
国の代表を選ぶ大統領選でさえ、人は外見で判断し選んでいます。わかりやすい例として、有名な1960年の米大統領選挙時のテレビ討論を引用させていただきます。
民主党のジョン・F・ケネディ候補、共和党のリチャード・ニクソン候補が激しい選挙戦を繰り広げていました。世論調査ではニクソン候補がケネディ候補をわずかにリードしていました。ニクソン候補は8年間の副大統領経験があり、政治家としてのキャリアも長く、演説も巧みでした。一方、ケネディ候補は当時、年齢が若く政治経験も少ないため、多くの政治評論家はニクソン候補の勝利を確信していました。
しかし、このテレビ討論で流れが一変しました。ラジオで聴いていた人々は、ニクソン候補が討論に勝利したと思っていましたが、8000万人が視聴したテレビ討論では、視聴者の多くがケネディ候補の勝利を確信し、事実ケネディ候補が選挙に勝利したのです。
ケネディ大統領誕生の裏側にはケネディ陣営の明確な「外見戦略」がありました。一方、ニクソン陣営は、討論内容には力を入れましたが、「外見戦略」を怠っていたのです。
ケネディの「外見戦略」
下図がテレビ討論放映時のイラストです。
どちらに、よりリーダーシップを感じますか? また、ハツラツとした印象、パワーを感じますか? そして、明るい未来を感じますか? それは、どのようなところから感じましたか?
このテレビ討論の模様をぜひ、動画でもご覧になってみてください。
歩き方から姿勢、表情、握手の仕方、反論のタイミングに至るまで、ケネディ候補の「ハツラツとした若いリーダー像」と、ニクソン候補の「顔色が悪く余裕がない、昔気質の政治家像」との対比が、鮮明にお分かりになることでしょう。
2人の外見の違いについて、いくつかのポイントから比較してみましょう。