たかが靴磨き、されど靴磨き
私は高校卒業後、地元製鉄所での勤務や英会話学校の営業を経て、なんのキャリアもないまま20歳で「靴磨き」の世界に飛び込み、東京丸の内の路上で靴磨き職人としてのスタートを切りました。試行錯誤を経て、最後は品川の路上で靴を磨くようになり、その頃には行列のできる靴磨き屋になることができました。
その後、ネット上で靴磨き専門サイトを開くなどして、2008年南青山に、カウンタースタイルの靴磨き専門店「Brift H」(ブリフトアッシュ)を開業しました。
靴磨きは仕事の移動途中に「ついで」にするという常識を変えたく、サロンのような店舗でドレスアップした職人がカウンターで靴磨きをするという「わざわざ靴磨きに行きたくなる店」をテーマに、日々スタッフたちと奮闘しています。
だからといって、これを読んでいる皆さんに「お店に来てください!」とお誘いしたいわけではありません。むしろ「あなたの手で靴を磨いてみてください」とおすすめしたいのです。なぜなら、自分の靴と毎日のように向き合うことで、心とカラダが整い、人間関係も生活も仕事もうまくいくようになり、人生が好転しはじめるからです。私は毎日真剣に「靴磨きのよさを、世界中の人にお伝えして、一人でも多くの方に元気になってほしい」と願っているのです。
最近はお客さまの靴を磨く際、次のような質問をさせてもらうことがよくあります。
「靴磨きを始めたことで、変わったことってなんでしょうか?」
すると、多くの方が不思議と口をそろえて、次のように話してくれます。
「靴磨きをすることで、人生が好転しはじめた」
「たかが靴磨きではないか」と思われる人がいるかもしれません。しかし、お客さまの話を聞いていると、靴磨きの素晴らしい効果に、私自身も驚かされるのです。ここでは、そんなお客さまの体験をもとに知ることができた、靴を磨いて起こる「プラスの変化」を紹介していきます。