「ひと」として尊敬されない監督はヤバい
監督はチームのリーダーでなければいけない。経営学の権威であるピーター・ドラッカーは「リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である」と語っている。
学生スポーツの場合、優先順位の最上位は「勝つこと」なのだろうか。筆者は最上位におくべきなのは、「育てること」だと思っている。学生スポーツは「プロ」ではない。アマチュアの世界の目標は、肉体を鍛えて、スキルを磨き、心を整えること。競技のルールを守り、人間力を磨くことが最上位であるはずだ。
教育者でもあるはずの監督が、「ひと」として尊敬を集めていないとしたら、そのチームは間違いなく危うい。また、その競技で大活躍できるようになったとしても、「ひと」として成長できないようでは、のちの人生で苦しむのは必至だ。
日大の学生数は日本一の約7万人。卒業生は116万人を数える。一方、日大アメフト部は約150人。大学全体からいえば小さいユニットだ。だが、知名度の高いクラブの「不祥事」の影響力は大きい。だからこそ、今回の問題を、旧弊で密室的な体育会系の価値観を根底から改め、学生スポーツが健全な方向に進むきっかけにしてもらいたい。