ソフトを臓器の再生医療に活用したい
【田原】将来の展望を教えてください。今後も受託開発が中心ですか。
【島原】共同研究と並行して、画像解析のソフトウエアを販売していきます。医療現場で使うには医療機器としての承認・認証が必要なので、現在申請中です。
【田原】その医療機器を入れると、大病院じゃなくても診断ができる?
【島原】はい。いまは医療の標準化が十分ではなく、医師の属人的な知見や設備によってばらつきが起こりがちです。一方、私たちが販売する予定のソフトウエアは、医師が普段使っている環境で使えます。公平な医療の実現というところにも貢献できるはずです。
【田原】そのソフトが現場に導入されると、医療費は増えるんですか。減るんですか。
【島原】私たちのソフトウエアは、病気の早期発見に寄与します。だから長期的には医療費の削減につながるし、何より患者さんのQOL(生活の質)を向上させることに貢献できると考えてます。
【田原】ソフトが普及した次は?
【島原】医療の臨床はライフサイエンスの一部にすぎません。いずれは「人間とは何か」が理解されて、人間をエンジニアリングする時代になっていくはずですから、やはりゆくゆくはそこに画像解析技術も活かしていきたいです。
【田原】具体的にいうと再生医療?
【島原】はい。エンジニアリングには品質管理が必要不可欠で、再生医療にも必ず品質管理が求められます。じつは品質管理に相性がいいのが画像解析技術。たとえば工業製品で不良品を弾くときには画像を含むさまざまなセンサー情報を使いますが、肝臓をつくるときにも同じことが必要になるはず。そこに私たちの出番があると考えています。
島原さんから田原さんへの質問
Q. あと何をしたら「死んでもいい」と思えますか?
僕は好奇心が強いから、いまでもやりたいことが次々に出てきます。だけど、同時にいつ死んでもいいとも思います。「『朝まで生テレビ!』で急に田原が静かになった、よく見たら死んでいた」が理想の死に方。いつもやりたいことをやっているから、いつ死んでも悔いはありません。
じつはそう考えるようになったのは最近です。以前は自分が死ぬことについてリアリティがなくて、考えたことがなかった。ただ、80歳を過ぎてから親しい人たちが亡くなり始めて、考えざるをえなくなった。つい最近も、西部邁さんが自死を選びました。あれも1つの死に方。西部さんのように、今後は自分でケリをつけたいという人が増えるかもしれませんね。
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