「対抗」は麻宮ゆり子『碧と花電車の街』だ

▼麻宮ゆり子『碧と花電車の街』(双葉社)

この3点を満たす作品が、麻宮ゆり子『碧と花電車の街』(双葉社)である。刊行日は2018年4月18日。来春の中学入試での出題予測をする上でまさに「対抗」と呼べる作品だろう。

麻宮ゆり子『碧と花電車の街』(双葉社)

物語の舞台は昭和30年代の名古屋の大須商店街。母子家庭という環境下で、貧しいながらも、一癖も二癖もある大人たちに囲まれて成長していく碧(みどり)が主人公だ。

碧は自身の境遇に悩み、恋する気持ちに戸惑い、周囲の大人たちとの距離感に苦慮する。そうした10代の葛藤が丹念に描かれている。

とりわけ印象的なのは、碧が担任の教師から侮蔑的なことばを投げかけられるも、そのモヤモヤを母親には直接言えずに抱え込んでしまうというシーンである。もしわたしがこの作品から出題するなら、このシーンを使うだろう。

敗戦の色がまだ残る時代設定のため、現代の子供たちにとっては聞いたことのないことばが多いだろう。しかし、それらのことばに触れることは子の想像力を膨らますという点において絶好の学びの機会にもなるはずだ。

この連休中に、ぜひ親子で書店に足を運び、読んだ本の感想を交わしてみてほしい。きっと楽しい時間になるだろう。

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