開成や灘といった進学校で、東大や京大ではなく、ハーバード大やMIT、イエール大に直接進学する生徒が増えている。海外のトップ大学の入試関係者も定期的に“営業”に来ているという。どんな生徒が合格しているのか。彼らが海外大学を目指す理由とは――。
※雑誌『プレジデントFamily2018春』号では、海外トップ大学に合格・進学した子の出題書類や、選考の主要項目の内容とその対策などを特集している。写真はハーバード大学に進学した灘校出身の高島崚輔さん(写真=遠藤素子)

東大を飛び越え、ハーバードやイエールを選ぶ開成・灘校生

その数字は確実に伸びている。

2014年5人
2015年10人

2016年7人
2017年22人

これは、今冬を含め、37年連続で東京大学合格者1位を誇る開成高校(東京・荒川区)からアメリカを中心とした海外トップ大学へ進学している生徒ののべ人数だ。

例えば、17年はハーバード大、イエール大、コロンビア大学、UCLAに各1人、プリンストン大3人などのべ22人が合格した(うち、進学したのは7人)。2018年も10人弱が受験をしたという。

これまで海外のトップ校には、東京大学や京都大学など国内のエリート校を卒業したあとに進学することがほとんどだったが、ここ数年、直接海外大学に進むケースが増えてきたのだ。

▼開成には海外トップ大学の入試担当者が直々にやってくる

開成高校の国際交流・留学委員会委員長の小竹禎先生によれば、学校も「直接海外へ」という生徒の流れに対応しているという。

「海外大学への進学を目指す生徒が増えてきたので、生徒からの要望に応じるという開成の基本的な教育方針にのっとって、2014年から委員会を作り、海外大学進学希望者をサポートしています」

サポートはかなり手厚い。生徒と保護者向けに、外部講師を招き海外大学の教育や受験事情を紹介する「カレッジフェア」を夏と冬に同委員会主催で開催している。冬のフェアには、トップ大学のアドミッションオフィサー(入試担当者)や海外大学の様子をよく知るOBが来校する。世界の有望な生徒を獲得するため、わざわざ日本にもやってきて熱心にPRするというわけだ。

2017年にはハーバード大やMIT(マサチューセッツ工科大)、プリンストン大、イエール大、シカゴ大から関係者が同校を訪ねたという。

「生徒にとっては憧れの大学の関係者と話すことができ、刺激を受けるいい機会になります。他校の生徒も(フェア開催の)うわさを聞きつけ、『参加させてもらえないか』と問い合わせてきたので受け入れました」(小竹先生)

そのほか、開成高校生の希望者を対象に週1回、課外授業を開き、受験科目のひとつである「エッセイ」の書き方などを指導する(※)。また、希望者(開成中学生を含む)にはサマースクールの願書の書き方などもアドバイスしている。

※雑誌『プレジデントFamily2018春』号では、海外トップ大学の受験科目やその対策などを合格者のエピソードをまじえてリポートしている。