灘校から毎年1~3人が直接ハーバードなどに進学

開成ではどんな生徒が海外への進学を希望するのか。

「海外大学と東大理3の両方に受かった生徒もいましたが、必ずしもトップ層だけではありません。強いて言うなら海外に目が向いている生徒。帰国子女もいるし、日本で生まれ育ったいわゆる“純ジャパ”もいます。私見ですが、グローバルな人材を求める世の中の空気が家庭に伝わり、生徒にも伝わったのではないでしょうか」(小竹先生)

一方、西のトップ校・灘校(兵庫・神戸市)はどうだろう。

「毎年1~3人がハーバード大やイエール大をはじめとする海外大学に進学しています」と話すのは、海外大学進学の希望者を応援してきた宮田幸一良先生だ。

※同号では、楽天の最年少役員で北川拓也氏(理論物理学者)が灘校からハーバード受験時に出願した英文エッセイとその和訳を全文掲載。合格の決め手ともなるエッセイの書き方も伝授する。

「2004年にうちの生徒だった北川拓也(現在、楽天の最年少役員※)がハーバードに進学したのは衝撃的でした。それまで国内の大学を経て大学院からの留学が一般的でしたが『高校からハーバードに進む道もあるのか』と。それから生徒たちに話してきたところ、8年前に、イエール大に進学する生徒がひとり出ました。以来、海外大学に進学する生徒が続いています」(宮田先生)

※前出・同号では北川氏がハーバード受験時に実際に提出したエッセイを全文掲載している。

海外大学進学希望者に対する学校の支援体制を聞くと、開成とは異なり、学校主導の支援は一切していないと言う。

「生徒たちが有志で、海外大学に進学した先輩が一時帰国したときに海外大学の事情を聞いているようです」(宮田先生)

▼「生徒会」の出身者が海外トップ大に進学する理由

興味深いのは灘高校から海外大学に進学した生徒の多くは生徒会活動をしていたという点だ。生徒会の顧問でもある宮田先生は、生徒会の出身者が海外トップ大に進学する理由をこう話す。

「生徒会に集まってきているのは、授業の内容にとどまらず、もっと広く学びたい生徒。生徒会では、ボランティアを行ったり、近隣の小学校に授業をしに行ったり、さまざまな活動をします。活動の中で学びとは何か、社会にどう還元できるかを常に考えます。エッセイや課外活動の報告が合否の判断材料となるアメリカの大学受験とこれらの経験が合致しているからでしょう」(宮田先生)

生徒会合宿などの活動の中で、さまざまな文献に目を通したり、レポートを書いたりする機会が多い。「ハードですが、実力が付きます。海外トップ大学を目指す子は塾に通う必要のないほど、成績も優秀です」と宮田先生は話す。