「安全基地」があれば、あなたも積極的にチャレンジできる

こうした安全基地の研究は、児童の愛着行動のみならず、人間のパーソナリティーの発達を説明する重要な概念としても注目されています。

写真=iStock.com/RomoloTavani

つまり、安全基地というのは、積極的にチャレンジするために必要な一段目のロケットのような役割を担うと考えていただければいいと思います。

ところが、最近の親御さんは子どもをマイナスで捉えてしまう人も多く、「これができない」、「あれができない」さらには、「他の子はここまでできたのに、うちの子はできていない」といった比較をしてしまいがちです。

そうなってしまうと、親御さんは子どもにとっての安全基地ではなくなってしまい、チャレンジできない子どもになってしまう危険性があるので注意が必要なのです。

親という字は「立って木を見る」と書きます。まさに、立って木の成長を見るのが親だということ。そのような態度が子どもにとっての安全基地となるのです。

では、ここからが本題です。

私たち大人にとって、安全基地となり得るものは何でしょうか。

それは、スキルや経験や人脈といったものです。あるいは、個々の自信や価値観などが安全基地になり得るといえます。

私たちの脳は、自分のなかでスキルや経験、価値観などの揺るぎない安全基地があるからこそ、臆することなく不確実性に向き合え、どんなことにもチャレンジできるようになるのです。

あなたのチャレンジ強度は?

では皆さんが自分のなかに安全基地を持っているのかいないのか?

それを簡単に判別できるテストがあります。

「あなたは、自分の人生で起こる不確実なことが不安ですか? それとも楽しみですか?」

この問いに対する答えで、あなたのチャレンジ強度がわかります。

これからの人生で起こる不確実性が楽しみだという人は、自分のなかに安全基地があり、チャレンジ精神が旺盛な人です。

不安だという人は、これからお話ししていくことを参考にして、ぜひチャレンジ精神を強化してほしいと思います。

私たちの脳は、もともと何が起きるかわからないということを楽しみとして捉えているものです。

例えば、子どもの頃、遠足に行く前の日は、ワクワクしてなかなか寝付けなかった。そんな経験が誰にでもあるはずです。

その理由は、遠足に行ってどんな経験が待っているかわからない。その不確実性が脳を刺激して、眠れないほど興奮するからです。

ところが、大人になるとどうでしょうか。大抵のことは経験してしまい、世渡り上手になって、不確実なことや新しいことが苦手な人が多くなるのです。