プロボクサーで30勝1敗といえば凄い記録だが、バットマンのように相手が闇の戦士の場合には、その1敗が死を意味する。ゴッサムシティの悪党たちは、レフェリーが止めに入ることなど許さない。だから、バットマンであり続けるには、ただの1度も負けられない。失敗は許されないのだ。

どんなに頑張っても無敗でいられるのは3年

そこで、もしバットマンのように出来る限り万全に体を鍛えあげたとして、あなたはどのくらいの期間、連勝記録を維持できるだろうか? ありがたいことに、またも調査結果を活用できる(ああ、科学に感謝)。ヴィクトリア大学のE・ポール・ゼーアは、大まかな目安を得るために、トップクラスのボクサー、総合格闘技のファイター、プロフットボールのランニングバックの選手など、バットマン級のアスリートを対象に調査を行った。あなたはどのくらいの期間、無敗のバットマンでいられますか?

答えは3年だった。そう、それだけ。

ゴッサムシティの犯罪のほとんどが信号無視くらいで、邪悪な黒幕はめったにいないことを願おう。10年以上武術を極めたところで、この地域の悪を一掃する時間はあまり確保できそうにないからだ。

幸い、あなたは無敗のバットマンになろうとしているわけではない。だが、あたかもそうであるかのように行動する人びとが少なくない。私たちは常に、落ち度があってはならない、一度失敗したら終わりだ、と思っている。

しかし私たちはバットマンではない。何度でも失敗し、断念し、学ぶことができる。というより、それが学ぶための唯一の方法なのだ。

エリック・バーカー
大人気ブログ“Barking Up The Wrong Tree”の執筆者。脚本家としてウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、20世紀フォックスなどハリウッドの映画会社の作品に関わった経歴をもち、『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』は、初の書き下ろしにして全米ベストセラーに。
(写真=iStock.com)
関連記事
外資コンサルが"完全休養日"を作った理由
なぜ高校の首席は億万長者になれないのか
9割が勘違いする"成功する人の条件"とは
沈黙を恐れる「いい人」は人生で失敗する
ツイてない人はなぜ、ツイてないか