凸版印刷やリコーとの協業も決まっている

【田原】工場はもう稼働していますか。

【山崎】宮城県白石市の工場は15年に完成しました。ラボで試作するのと実際にラインに載せて生産するのはいろいろ違いがあって、苦労が絶えませんでしたが、16年の6月から名刺の販売もスタートさせています。いま工場は約50人が働いています。また、18年中に第2工場を着工して20年に竣工予定です。最初の工場はR&Dと生産の両機能を持っていましたが、第2工場は生産に集中。勝負を懸けます。

【田原】さて、これからどうやって世界に展開しますか。

【山崎】日本で完全に確立させてから海外に展開するというスピード感では遅いので、海外でも並行して工場をいくつか建てていきます。そのためには大企業も巻き込んでいく必要があり、すでに凸版印刷やリコーとの協業も決まっています。最初の海外工場がどこになるのかは、いま話を進めているところでまだ発表できませんが、ぜひシンボリックな場所でやりたいなと考えています。

【田原】将来楽しみですね。ちなみに孫正義さんはLIMEXのことを知っているんですか?

【山崎】いや、たぶん知らないかと。どこかのタイミングで応援していただけたらと思いますが……。

【田原】絶対に言ったほうがいい。何だったら僕が言ってもいい。応援するので、ぜひ頑張ってください。

山崎さんから田原さんへの質問

Q. 日本人の環境意識を高めるにはどうすればいい?

日本は自然が豊かな国で、環境が少々破壊されたところで生活が急に困るおそれは小さい。他の先進国に比べて日本人の環境意識が低いと言われるのも、自然に恵まれすぎているからでしょう。また、日本人の無責任体質にも問題があります。象徴的なのは原発事故。東京電力は地元の人に「事故が起きない」と言い切って、避難訓練もやっていませんでした。自民党はいまも原発を無視して、幹部間で「誰かを責任者に」「自分は嫌だ」と押しつけ合っている。誰も責任を背負いたがらないから、何も決まりません。

環境問題全般についても同じことがいえます。責任を持って導く旗振り役がいないから、有効な対策が打てないのです。

田原総一朗の遺言:責任感のある旗振り役が必要だ

(構成=村上 敬 撮影=宇佐美雅浩)
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