夫の昇給、出産……「めでたい」から、ついご褒美支出
早速、現在の家計の状況を拝見すると、3年前にくらべて世帯年収は150万円ほどアップ(現状、夫婦の合計で年収850万円)しているにもかかわらず、たしかに貯蓄額はあまり増えていない。3年前は500万円で、現在は600万円だ。
「3年前にアドバイスしていただいた通り、最初は、予算の範囲内でヤリクリして、貯蓄も頑張っていたんですが、子どもが生まれて何かと支出がかさんで。逆に支出も膨らむようになったんです。去年、夫が昇給して、年収も増えたことはいいニュースでしたが……」
一般的に、子どもが一人増えると、平均で月1~2万円程度支出が増えると言われているが、A子さんのご家庭の支出増は、その程度で収まるものではなかった。時系列でみると、ほぼ収入の伸びと同じ割合で右肩上がりに支出額も増えている。
さて、A子さんの家計の問題点を洗い出しながら、給与がアップした人がやってしまいがちな5つのNGな消費行動を見てみよう。
【収入が微増した人がやりがちなNG消費 その1】
自分へのご褒美で“ちょこっと贅沢”
A子さんが思い出しながら、話してくれたところによると、財布のヒモが緩み始めたきっかけは、「ワイン」だったという。
「それまで貯蓄しなきゃ、節約しなきゃと思って、妊娠中や授乳中は、ガマンしていたんです。でも慣れない育児と家事の両立でストレスがたまってしまい、頑張っている自分へのご褒美として、これくらいいいよねって感じで、ちょっとだけ飲み始めたんです」
A子さんの夫もお酒が大好きだそうで、出張先や会社帰りのデパ地下などで買ってきてくれる。
「1本1本はそれほど高いものではないんですが(1本平均3000円)、買う頻度が増えれば、結構な金額になりますし、少しずつグレードが高いものじゃないと満足できなくなって。飲む量も増えてきましたし、今では、他の支出にも“ちょこっと贅沢”が当たり前になりつつあります」
収入が増え、自分へのご褒美としてちょっとした贅沢を楽しむこと自体、悪いことではない。しかし、A子さん夫婦のように、それが常態化すれば支出は膨らむ一方。ワインを含む月のアルコール代は計2万円以上だといいます。ダイエットと同じで、太るのはアッという間だが、メタボ家計を元に戻すのは時間と労力が必要だ。