アマゾンはEコマースの会社ではないの?

――アマゾンはEコマースの会社だと思っていました。

【チャン】私たちは自分たちのことをテクノロジーの会社だと考えています。情熱を持ってお客様にフォーカスをして、彼らの利便性を高めるために、テクノロジーを使うのです。たとえば個人のお客様には、ショッピングをやりやすくするとか、おもしろいビデオを見つけやすくするということにテクノロジーを活用しています。法人のお客様にも、コンピューティングの世界で便利なサービスをいろいろと提供しています。

ジャーナリスト 田原総一朗氏

――AWSのユーザーは何社?

【チャン】企業数は公表していませんが、グローバルでは190カ国以上で数百万、日本では10万以上のお客様にご利用いただいています。私たちが数字をあまり開示しない理由は2つあります。1つは、ユーザーにとってあまり重要ではないから。お客様にとって大切なのは、あくまでもサービスの中身です。もう1つは、つねに成長を続けている会社だから。いまも始まったばかりのような感覚で、日々、サービスの改善に取り組んでいます。だから規模はあまり関係ないし、私たちも意識していません。その点をご理解いただければと。

――日本ではアマゾンの成長を尻目に、百貨店や小売店の売り上げが伸び悩んでいる。この現象をどう受け止めていますか。

【チャン】アマゾンが理由で売り上げが減っているわけではないのでは。小売業全体でのアマゾンの存在はまだまだ小さいものです。その中で私たちはお客様、そしてイノベーションにフォーカスをしている。最終的に決めるのはお客様です。

金融分野への進出を加速させるのでは?

――脅えているのは小売業だけではありません。いま金融関係者は「アマゾンが金融業を始めるんじゃないか」と気にしている。実際、もうやっているんでしょう?

【チャン】いえ、自分たちが金融をやっているとは考えていません。

――将来、ライドシェア業界に参入する可能性はありますか?

【チャン】いまのところ、そういう計画はないです。

――でも、お客様は求めている。アマゾンのミッションに合うんじゃないですか。

【チャン】たしかにテクノロジーを使って解決すべき難しい問題はいろいろあります。ただ、世界にはプレーヤーがたくさんいて、アマゾンはその中の1つにすぎません。私たちはあらゆることをやるわけではなく、優先順位を設定しています。私たちにはアマゾンマーケットプレイス、アマゾンプライム、それからAWSという非常に大きな3つのビジネスがあります。さらにAmazon Echoも始まったばかり。これらはまだ成長の可能性が大きいので、しっかりフォーカスをしていきます。

Amazonの融資サービス
2014年から、アマゾンマーケットプレイスに出品している法人事業者を対象に、運転資金の融資を行う「アマゾン レンディング」を開始している。