荷物が少ないことのメリット5選

皆が荷物を持ちすぎると、全体最適の面でもデメリットも生じるので、できれば荷物は減らしていただきたい。そこで、私が考える「旅行で荷物が少ないことの利点」を列記してみよう。

【1】さっさと空港外に出られる

荷物を減らして機内に持ち込むバッグにすべて集約してしまえば、あの巨大回転ずしのような、荷物が流れてくるベルトコンベヤーの前で待つ必要が一切ない。人々が荷物を待つなか、自分はソッコーで税関へと進み、荷物検査を受けてすぐに外に出られるのだ。ファーストクラス、ビジネスクラスの客は機外に早く出られる特権を持ち、エコノミークラス客の荷物よりも先に荷物が出てくるものの、結局はベルトコンベヤーの前で待つ必要はあるわけで、荷物を預けなければ彼らよりも早く外に出られるのである。

【2】軽い・動きが速い

人々がゴロゴロとキャリーバッグやスーツケースを引きずっているなか、さっさと歩いて追い抜くことができる。これにより、けっこうな時間を節約できるし、体力的な負担も減少する。

【3】防犯になる

海外の街中でスーツケースを転がしていたりすると、窃盗団からすれば格好の標的になることだろう。リュックを背負っていたり、肩からカバンを下げたりするだけなら、盗まれづらい。

【4】余計なものを買わないで済む

バッグ内のスペースが限られているので、現地で買い物をしても入れようがない。そもそもいまの時代、物欲的には満足している人も多いことだろう。旅行先で新たに何かが欲しくなったとしても、荷物スペースのことを考えてちょっと冷静になれば、本当に必要かどうかをシビアに判断できる。土産を買うにしても、実際はそれほど魅力的な品物はない。「スペースに余裕がないから何も買わない」と最初から決めてしまうのも手だ。

【5】準備に時間がかからない

出発前やホテルをチェックアウトする際、荷物が少ないと最後の荷造りがほんの5分ほどで完了してしまう。パッキングに手間がかからない。乗り継ぎをするにしても、荷物を受け取り、さらに預ける必要がないためさっさと次の飛行機に向かうことができる。

このように、荷物が少ないほど旅行がラクになることを実感しつづけているので、たとえば2月に控えている愛媛出張や、3月の大阪出張なども、私はEASTPAKのリュックひとつで軽々と出かけていくことだろう。

「どうしても荷物が減らせない」という人も、次の旅行前の荷造りでは「前回使わなかったものは持っていかない」くらいの断捨離は意識してみてほしい。なお、冬の日本から季節が逆の国に行ったり、常夏の国に行ったりする場合は、空港の「コート預けサービス」が便利である。今回のカンボジア旅行では、6日間預けて1人1300円ほどだった。暑い国でコートを運ぶ煩わしさから解放されるのは、実に心地よい。

【まとめ】今回の「俺がもっとも言いたいこと」
・旅行に多すぎる荷物を持っていくと、周囲に迷惑をかける可能性がある。
・荷物を減らす意識を持つと「本当に必要なものは、実はとても少ない」ということに気づかされる。
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973年東京都生まれ。ネットニュース編集者/PRプランナー。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『バカざんまい』など多数。
(写真=iStock.com)
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