慶應中等部「フレンチは肉が先? 魚が先?」

次も、同じ年の慶應中等部の問題(2016年)である。

<フランス料理が出されるときの、決められた順序で正しいものを選びなさい。
1 前菜 → 肉料理 → スープ → 魚料理 → デザート
2 前菜 → スープ → 魚料理 → 肉料理 → デザート
3 スープ→ 前菜  → 肉料理 → 魚料理 → デザート>

正解は2。これも全員正解するかと思ったら、案外そうでもない。生徒に解かせたら、不正解が半分近くもいた。フランス料理のフルコースの順番は教科書には載っていない。「魚料理のほうが消化しやすいから肉料理よりも前に出される」とか「味の濃い肉料理の前に魚料理を先に出す」などと言われている。そこまで知らなくてもフルコースの順番くらいは知っておいてほしいという、「社会常識」を問う問題なのだろう。

「小学生にフレンチのフルコースを食べさせるなど、ありあえない」
「いや、慶應中等部を受験する家庭は高所得で、普通の家庭ではない」

いろいろな意見が出てきそうだが、中学受験を考えているのであれば、子どもにはさまざまな「社会常識」を教えることも必要だということだ。

▼早稲田中は「鍋で米と魚介類や肉類を炊き込むスペイン料理名」を問う
※写真はイメージです

もう中学受験の「社会」は、教科書を読んで記憶すればよい時代ではない。家庭で親から子に伝えられるような身近な食文化やテーブルマナーも問われるようになっているからだ。

ちなみに慶應のライバル、早稲田の付属・系属校で食に関する出題がないか探してみた。すると2017年に早稲田中学がこんな問題を出していた。

<鍋で米と魚介類や肉類を炊き込む、スペインを代表する料理名を選びなさい。
ア)パエリア イ)リゾット ウ)ドリア エ)ピラフ>

フレンチの慶應、パエリアの早稲田――。学校の“カラー”に合っているかどうかはともかく、受験生をもつ親としては、ファミレスやファストフードだけではなく、本格的な「食」体験できる場所に子どもを連れていくことも、親の務めと言えるかもしれない。

関連記事
中学受験は「親の器の大きさ」がすべて
早慶明の付属に熱視線 お受験母の皮算用
親の口癖が「ヤバい」なら子も「ヤバい」
東海道新幹線「座席E」に座る子は賢い!
「天才」はなぜ、学校では育てられないのか