東京23区外、神奈川、千葉の高学歴専業主婦の“無念”

【3:離職した女性のうち、再就職を望む専業主婦女性は多い】

前述したとおり、東京圏では高学歴女性のうち、約8割が結婚・出産を機に正規雇用の職から離職・転職します。さらに、子どもを持つ専業主婦女性の多くが、都心ではなく東京近郊(23区外、神奈川、千葉など)に居住をしていることから、高学歴女性が自らの意思で専業主婦であることを選択しているように感じますが、必ずしもそうではありません。

アンケート調査結果のなかでは、離職して専業主婦女性になった女性の約6割が再就職を希望していることも明らかになっています。さらに、実際に、再就職が可能になった状況になった女性を対象に、再就職ができない理由を尋ねると、約半数の女性が「家庭の事情などで働く時間に制約があるため、条件に合う仕事がない」ことを挙げているのです。

再就職先が見つからない専業主婦のなかには、「東京23区外」に住んでいるがゆえに、「自宅の近くで勤め先が見つからない」「オフィスの多い都心に勤めるには、通勤時間が長い」といった問題もあると想像できます。

▼神奈川、千葉、埼玉の専業主婦を戦力化せよ

主婦の再就職に向けて、企業と連携し「ママインターンシップ」(元キャリア女性の再就職を応援するプログラム)のプロジェクトを行っている株式会社Warisの小崎亜依子氏はこう語ります。

「昨今の人手不足の雇用情勢を受け、求人件数は多いのですが、企業はポテンシャルのある高学歴な専業主婦の女性のスキルを十分に活かせているとはいえません。専業主婦は、サラリーマンとは異なる多様な経験も持っています。企業は、こうした人材を活かす工夫をもっと積極的にしてよいのではないでしょうか。一方、専業主婦の皆さんにも、失敗を恐れずに、チャンスがあればどんどん再就職にチャレンジしてほしいと思います」

高学歴な専業主婦であれば、過去に得たスキルや専門性は、企業にとっても即戦力になるケースは少なくありません。例えば、育児などのためフルタイムでは仕事ができないという複数の女性に「フルタイム1人分」の仕事を分散させて担当してもらう、といった案もあるでしょう。

再就職する意欲が旺盛な高学歴の専業主婦が、再び職場で輝けるような取り組みを行うことは人手不足問題に直面する企業にとってもメリットがあるのではないでしょうか。

「女性の活躍」という言葉を政府が掲げて以降、多くの企業は女性が活躍できる場をつくろうと取り組んでいます。今後はとりわけ神奈川、千葉、埼玉といった「東京郊外」に住む高学歴の専業主婦への働きかけを強くするといいのではないでしょうか。そのためには、国が待機児童を減らす取り組みを加速させる必要があります。

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