都心5区の高学歴女性は正社員率が高いが出生数は低い
【2:子どもを持つ専業主婦になると住まいは千葉、埼玉、神奈川に】
高学歴女性の居住エリア別の就業形態をみると、正規雇用されている比率は「東京23区」に住む女性が28.3%で東京圏では最も高くなりました。そのほかの地域は、「神奈川県」22.9%、「千葉県」22.6%、「23区外の東京都」18.9%という結果でした。
一方、仕事を持たない専業主婦の比率を比べてみると、「東京23区」は最も低い37.6%でした。専業主婦率が60%前後にもなる「神奈川県」「千葉県」「埼玉県」とは極めて対照的な結果となりました(図表1)。
▼千代田・港・中央・新宿・渋谷の高学歴女性の子ども人数は0.53人
さらに、居住エリア別の正規雇用比率と、既婚の高学歴女性一人当たりの子どもの人数には「負の相関」がみられます。つまり正規雇用比率が高いと子どもの人数は少なくなり、正規雇用比率が低いと子どもの人数は多くなります。
例えば、正規雇用比率の高い「東京23区内」のなかの都心5区(千代田区・港区・中央区・新宿区・渋谷区)に限ると、その比率は39.0%ととても高くなっていますが、高学歴女性一人当たりの子どもの人数0.53人と非常に少なくなっています(図表2)。
多くの企業が都心部にオフィスを構えているため、子どもがいないうちは職住近接のために23区内に居住しながら正規雇用として働くものの、出産し子育てを行う専業主婦となると、離職に伴う世帯年収の減少や子育て環境を考慮して、東京近郊に居住する女性が多いことが想像できます。
しかし、テレワークの導入など、働く時間や場所を柔軟に選択できる環境整備づくりを企業側が進めていけば、「東京23区」の郊外に住んでいても、仕事と家庭の両立がしやすくなるなど、東京圏の女性が望むライフススタイルの選択肢が増えていくのではないでしょうか。