難関校の出題:「シルバー民主主義」を50字で説明せよ

おすすめのネタは安倍晋三首相についてだ。小学生も安倍首相のことは知っている。親は「実は、昔、病気で一度総理大臣を辞めたんだよ」でもいいし、「おじいちゃん(岸信介)も総理大臣だったんだよ」でもいい。個人にスポットを当てることで、子供が「政治」に興味を持つきっかけをつくることができる。

では、最終的に、どのようなレベルにまで子供の政治的素養を引き上げればいいのか。例えば、中学受験を考えているのならば、以下のような出題に答えられるような知識が必要となる。

《「民進党や共産党など野党4党は、候補者を一本化」について、野党各党が与党に勝つため、別々に候補者を立てるのではなく、野党で共通して候補者を1人に絞ったのはなぜか、答えなさい》(2017年鴎友学園女子中)

学校が発表した解答は以下の通りだ。

「野党が別々の候補者を立てると、票が分散して与党に勝てなくなるが、共通して1人に絞ると票が集まり、与党に対抗できるから」

今や、小学生にも政治への理解が求められている。国会議員の数や任期を単純に記憶すればいい、という時代ではないのだ。

▼国政選挙で地方に住む高齢者の声が国会に届きやすい理由を120字で

中学受験の問題は、社会を映す鏡になっている。「選挙権年齢の18歳引き下げ」「一票の格差の是正」「参議院の合区(隣り合う選挙区を統合)」といった言葉は中学受験をする小学生にとっては覚えるべきキーワードになっている。

政治関連で近年頻出するテーマは「シルバー民主主義」だ。この2年だけでも、偏差値60~70の難関中高一貫校では、次のような問題が出ている。

《「シルバー民主主義」という言葉を選挙時に聞くことが増えてきました。これは、各政党が65歳以上の高齢者に配慮した政策を掲げる傾向が出てきているからです。なぜこのような傾向になるのか、50字以内で理由を説明しなさい》(2017年渋谷教育学園渋谷中)

《日本の国政選挙では地方に住む高齢者の声が国会に届きやすいという指摘があります。(中略)なぜそのようなことが言えるのか、またそのような問題についてどのような対策がとられているのか、120字以内で説明しなさい》(2017年浅野中)

《1990年代以降、投票率の低下がしばしば指摘されています。投票率の低さはどのような問題を持つと思いますか。年代別の投票率にも注目し、国民主権と関連付けて説明しなさい》(2016年武蔵中)

いずれの問題も、受験生は人口ピラミッドや投票率といったデータを参考にしながら解くのだが、難関校に合格したければ、小学生といえども「主権者意識」が求められるということだろう。

ちなみに、シルバー民主主義とは、少子高齢化の進行で有権者に占める高齢者(シルバー)の割合が増す中、選挙で当選するためにそうしたシルバー層に配慮した政策や公約を打ち出す候補者が増える現象のこと。そのことから、若い世代も投票することが重要であることを子供に考えさせる問題だ。

家族でテレビを囲むとき、どんな番組をみているだろうか。お笑い芸人が登場するバラエティ番組や野球やサッカーなどのスポーツ番組をみるのもいいだろう。だが、ニュース番組をみることがあれば、「政治家」を話題に出してみてほしい。きっと子供の政治的素養を高めることにつながるはずだ。

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