成績が伸びないときこそ塾の真価が問われる

「週テスト」対策をしたり「大量の宿題」をこなしたりしていても、なかなか結果に表れないことがあるのが中学受験勉強。自分だけじゃなく、まわりの子供たちもみんながんばっているのだから、自分が100がんばっていたとしてもまわりが105がんばっていたら、おいていかれてしまうのだ。

そんなことが続いたら、大人だって心が折れてしまう。だから、テストの点数という「結果」だけでなく「プロセス」に焦点を当てて評価するしくみも、中学受験塾には必要であり、実際に多くの塾がなんらかの形でそのようなしくみを用意している。

ささいなことに思えるかもしれないが、そこを見ることで、「できる子をさらに伸ばす」だけでなく「うまくいかなくてつらい思いをしている子を励まし続ける」ことをどれだけ大事にしている塾かが計り知れる。

また、そのような状況では保護者も不安になる。わが子が努力しているのにそれが報われていないのだとしたら、親としてはいてもたってもいられない。

そんなときには塾と親とのコミュニケーションが重要となる。どうして努力が成果に表れないのか、早急にお互いに情報を共有し、課題を発見し、手当の方法を考える必要がある。それですぐに成績が上向くとは限らないにしても、手を尽くしてくれていると具体的に感じられることが大事だ。

親の立場からしてみれば、授業のあとに電話をもらって、「今日の授業ではものすごく集中していました。理解度も高かったと思います。このところ結果が出ないことが続いていますが、今後のテストでは期待が持てると思います」と言ってもらえるだけでも安心できるものだ。

このように、スモールステップの成果が思わしくない場合に、生徒および保護者になんらかの「手ごたえ」をフィードバックするシステムが塾には必要。拙著ではそういう観点も盛り込んで、各塾の取り組みを紹介している。