仕事も恋愛も恩を着せずスマートに

もちろん夜の銀座であるから色っぽい側面もあるが、伸びる男はお金にものをいわせて女性を口説かない。

「うちは恋愛禁止ではありませんし、夜の銀座は女の子とちょっとした疑似恋愛気分を楽しむ場所でもあります。でも、たくさんお金を落としたからといって、女の子を自由にできるというのは大きな間違いです。そういう方は女性をハントできるお店に行けばいいでしょう」(由美ママ)

優希ママも、「クラブは口説く場ではありません。『あれだけしてあげたのに、見返りが何もないの?』って言ってしまうような人は人間としての度量が狭すぎる」と話す。

「偉くなる方は、ホステスでもOLさんでも、女性に惚れさせるもの。ホステスだって素敵な男性には惚れますから、『あらっ、この人素敵!』と思わせるように持っていくのが男の美学です。ホステスにノルマがあるのを利用して、『ノルマが大変』と聞いた途端に、『〇〇してやるから』『○〇してあげたのに』と恩着せがましく言うのは、聞き苦しいですよね」

同伴アポのキャンセルにも、男としての出来不出来が垣間見える。

「『この日は無理』と切っておしまいにするのと、『申し訳ない。代わりにこの日どう?』と別の日を提案するのでは、印象が全然違いますよね。さらにスマートな方は、自分が同伴できない場合は、部下を“代打”として立たされます。手を叩いて喜びたくなりますけど、『ああ、寂しい。でも、ありがとう』とお返しします」(優希ママ)

由美ママも、「約束を守るのは大前提。でも、銀座で遊んでくださるのはお仕事があってこそ。ですからお仕事は絶対優先してほしい。やむをえずキャンセルの場合には次の約束をくださるとありがたいです」と声をそろえる。「酒の席の約束なんて、冗談に決まってるだろ」などと言って逃げるのは、言語道断だ。

「仕事ができる」と「出世をする」には小さいようで大きな違いがある。出世を望むならば、仕事の結果だけでなく、自分の行動を見直そう。社会人として、人として、上に立つ者としてふさわしいマナーや立ち居振る舞いができているだろうか。

一流の男のすべての条件を備えることは難しいかもしれないが、1つずつ身につける努力はしたいもの。夜の酒席にはその人物の器量が如実に表れることを肝に銘じておきたい。

(撮影=ARI HATSUZAWA(伊藤由美氏)、板橋 葵(桃谷優希氏) 写真=PIXTA)
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