とはいえ、安倍政権の下での憲法改正の道が完全に閉ざされたわけではない。安倍首相が当初想定していたのは、(1)今年の秋の臨時国会で自民党の憲法改正案を提出、(2)来年の通常国会で憲法改正を発議し、(3)来年秋に衆議院の解散総選挙と改憲の国民投票をダブルで実施する、というスケジュールで、解散総選挙と国民投票をダブルで行うことで、国民投票への関心を高め、浮動票を呼び込み、憲法改正の成功確率を上げるというもくろみであったと見られる。

しかし、解散総選挙の結果、改憲勢力(場合によっては日本ファーストの会を含む)で3分の2以上の議席を確保できれば、(1)来年の秋の臨時国会以降に憲法改正の発議、(2)再来年の春以降に国民投票を実施、というスケジュールもありえる(図表1)。改憲の国民投票のハードルは決して低くはないが、拙速に進めた、強引に進めたとの誹(そし)りを受ける可能性もある前者のスケジュールより、憲法問題に国民的な理解を深めるために時間をかける後者のスケジュールの方が、無理がないように思われる。

Q:今後、支持率は順調に回復するか?

A:内閣改造後、各種世論調査で支持率は持ち直した(図表2)。今後についての予測は難しいが、解散総選挙で安倍自民が勝利をおさめたとしても、順調な回復は見込みがたいというのが、大方の見方であろう。各種世論調査の結果を見る限り、加計学園問題、国連平和維持活動(PKO)日報問題などをめぐる国民の疑念は払拭されていないようである。

重要法案の強行採決など、これまでの政策決定プロセスへの批判も強く、例えば憲法改正に向けて前のめりな動きが見られれば、それが自民党内からの自発的な動きであったとしても、内閣支持率に飛び火するリスクもあるだろう。今後も、党内への配慮だけでなく、支持率も意識した手堅い漸進的な政策運営が必要となるのではないか。