オバマケアが廃止されるべき理由

従来までの大統領と比べてトランプ政権の動向が読みにくいと主張する人もいます。たしかに、トランプ氏個人の選挙期間での発言やメディアの前での言動は読みづらい(笑)。しかし、トランプ政権全体が向かう方向は極めて明確です。選挙中のキャンペーンも減税・規制緩和を行う方向性ははっきりしており、その点については現在も変わりなく進行中です。

現在、我々はヘルスケア改革法案通過によるオバマケアの廃止を精力的に推進しています。なぜなら、オバマケアは10年間で1兆ドルに及ぶ増税をもたらすからです。そのため、税制改革の前に、オバマケアを含む多くの増税を可能なかぎり元に戻すことを進める予定です。

オバマケアは廃止される必要があります。なぜなら、約20種類の税目で増税をもたらす大増税であるとともに、政府が人々の人生をコントロールするプログラムが存在しているからです。政策を機能させるために、その政策自体が選択の余地を少なくして、人々を政府のコントロール下に置くことを必要とする内容となっています。そして、たとえ人々が望まなくても保険を購入することを義務付ける要件が存在し、どんな小さな企業であっても従業員の保険を購入する義務が発生する。このことなどによって、経済成長が著しく抑圧されているのです。我々は再度正しい方向に進む必要があり、ヘルスケア・保険制度についてさらなる自由と選択を手にすることが可能となるように改革するべきだと考えます。現在、オバマケアが推進されることに伴う状況悪化について、メディアへの情報提供を行っているところです。

そのうえで、連邦議会において、9000億ドルから1兆ドルのオバマケアによる増税をなくす法案を通過させて、7000億ドルから1兆ドルをベースとするラインとして減税を進めていきます。米国はOECD加盟国の中でもトップの高い法人税率を課しており、同加盟国で国境を越えて法人税の課税を行う唯一の国でもあります。したがって、トランプ政権における税制改革では、法人税率を可能であれば20%以下に減税させること、そして国境調整税に移行させること、という2点にこだわっています。税制改革の詳細については多くの人々がさまざまな動きを見せていますが、トランプ大統領は抜本的な税制改革を望んでおり、米国企業が競争力を取り戻すことに期待しています。

すでにトランプ政権は重要な成果をいくつもあげています。トランプ政権下の新しい連邦通信委員会委員長によって、オバマ政権時代に行われたインターネット事業者に対する規制による投資機会の損失は見直されました。また、オバマ政権下に強化された水質浄化法による水質保全における州への過度の干渉、そしてパリ協定の見直しについても成果をあげています。

米国の保守派と自民党の関係

なお現在、トランプ政権を支える我々保守派と日本の自民党との関係は特にありません。自民党からの打診もない状況です。我々としては自由市場拡大について前向きに話を進めたいのですが、自民党内ですら自由市場推進に前向きな政治家は少なく、むしろ後ろ向きな方が多いのではないかと認識しています。そのため、今後、話を進める場を設け、特に減税や規制緩和について一緒に事を進めることができれば素晴らしいことです。今後、日米の自由主義・保守主義の価値観をともにするパートナーとの関係が発展することを望みます。

最後にひとつ。もし現在の米国のことを知りたいなら、日本ではあまり知られていませんが、「The Daily Caller」や「Washington Examiner」などの情報ソースをお勧めします。「ウォール・ストリート・ジャーナル」のオピニオン欄も参考になりますが、アジア版は編集されていることもあるので、米国版を読むといいでしょう。

(構成=渡瀬裕哉 写真=AFP=時事、奥谷 仁(バトラー氏))
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