大統領就任から半年。さまざまな批判を受けながらも、トランプは候補者当時からの強気の態度を崩していない。その背景には何があるのか。支持団体の中心人物に話を聞いた。

大手メディアでは見えない米国の現実

現在、CNNやABCなどの米国メディアは、トランプ政権に非常に強い敵対心を示しており、公平性・客観性を著しく欠いていると言わざるをえません。たとえば、CNNがトランプとロシア問題について報道した際、コメンテーターがリベラル勢力に偏っていたため、反対意見に対する指摘が失笑を買う結果となった場面が取りあげられてきました。大手メディアはリベラル勢力に偏り、大統領関連報道はかつてないほど客観性が失われています。

7月13日、パリでマクロン大統領と会談。パリ協定離脱再考を示唆する発言も。(AFP=時事=写真)

こうしたメディアが支持率低下を強調する一方、大統領の人気は衰えていません。それは我々保守派がトランプ大統領の支持率の下支えをしているからです。私たちの団体・ATR(Americans for Tax Reform:全米税制改革協議会)のグローバー・ノーキスト議長と私はホワイトハウスをたびたび訪問し、力強い連携関係を構築しています。ホワイトハウスだけでなく連邦上院・下院で精力的な活動を行っており、おもに経済関連の委員会で議会関係者らに減税や規制緩和を推進するべく動いています。

そして、現在ワシントンで起きている税制や規制に関する情報について、団体関係者らとミーティングを密にし、情報交換に努め、保守派の支持者らに対し、特に減税・オバマケア等に関する情報提供を呼びかけることを徹底しています。また、トランプ勝利の大きな要因であったSNSのメッセージ発信を見習い、TwitterやFacebookなども有効な情報源・情報提供先として活用しています。

情報提供の具体例を挙げましょう。我々は米国の一般人向けに「Cost of Government Daily Report(政治のコスト日報)」というプロジェクトを実行しています。たとえば、プロジェクトの中には、1年のうち何日間税金を支払うために働いているのかを計算した「納税者の日」を伝える活動があります。納税者意識を喚起して私たちの価値観を知ってもらうのに非常に効果的なキャンペーンとなっています。

ほかにも保守派の支持者や一般の人々に働きかける方法はいろいろあります。「ATR SPORTS」というプロジェクトでは、スポーツ界にどのように課税が行われているのかを伝えています。政治課題に焦点を当てながら、スポーツを絡めることで議論の的にする試みです。たとえばもっとも課税されているアメフト選手に注目し、課税前と後で給料が実際に4~6割程度減ること。また有名なボクサーが高税率を原因としてラスベガスで試合を二度としなくなった話や、オリンピックチャンピオンにどれほど課税されるのかなども伝えました。これらは議論を生み、誰もオリンピック出場選手に高課税を加えることを望まないという意見を生むことになりました。このように一般の人々にも保守派の価値観を理解できるように努めることが重要です。

ほかには、我々は政治家に対してすべての増税に反対するという内容の「納税者保護誓約書」への署名を求めています。重要なことは、特に誓約書を破った、もしくは誓約書に署名しなかった政治家の選挙前後の動向を伝えることで、増税に向けて行動している政治家への注意を喚起することです。過去にオバマ前大統領は、意味もなく増税することはないと言ったことがありましたが、自身の政権下でその約束をわずか27日で破りました。政治家の行為が一般の人々にどのように関わっているのかを伝えていくことを大事にしています。これらの取り組みの積み重ねが、トランプ大統領の支持率を支える要因となっています。