「ここまでやるか!」というレベルであたらないと事後挽回はできない

危機管理には大きく分けて2つある。事前予防と事後挽回だ。その骨格を述べると、

(A)事前予防としては

1、まずい・やばい情報ほど先に出せ。隠して後からバレるのが最悪。まずい・やばい情報を出せば批判を受けるが、情報を出した上で、丁寧な説明・真摯な反省・心からの謝罪・徹底した原因究明・大胆な抜本的改善策をきちんと打ち出せば、致命的ダメージまでは被らない。とにかく隠した後にバレるというのは致命的。

2、不正があるかどうかの真実は関係ない。不正が疑われる環境を徹底的に排除する。

というのが柱。

(B)事後挽回としては

事前予防の1、2と基本は同じだけど、不祥事が発覚した後だから、事前予防のときよりも「姿勢・気迫・意気込み」を強烈に示す必要がある。そこまでやるか!! と皆に思われるくらい徹底した挽回策を講じることが重要。普通の淡々とした対応策、対応姿勢、意気込みでは全くダメなんだ。

(B)の「不祥事が発覚した後」、「ピンチに陥った後」の挽回の仕方が、危機管理アドバイザーとしての腕の見せ所。僕はこの点に絶対的な自信がある。

不祥事発覚後の挽回のための事後挽回の危機管理は、「姿勢・気迫・意気込み」が全て。この辺りのことをやっておいたらまあいいだろうレベルじゃ全然ダメ。そこまでやるとは思わなかったと皆が感じるレベルの挽回策を講じなければダメなんだ。

この「姿勢・気迫・意気込み」をもって事前予防の1、2と同じ内容を徹底して実行するということが事後挽回の危機管理の黄金測。

まずい・やばい情報は全て出す。そして認めるところは全て認める。一般的に疑念を抱かれるような言い訳は一切しない。謝るところはきっちりと謝り、不祥事の原因究明もしっかりやる。それに対する今後の対策もちょっとした改善策ではなく、抜本的な改革を打ち出す。

これはある意味当たり前のことで、不祥事が発覚した時点で信用がマイナスになっているのだから、そのマイナスを0にする、ましてやプラス回復するというのは、とんでもないエネルギーが必要なんだ。

そしてここまでやるか! と皆に感じてもらえる事後挽回策を講じると、それに併せて自分たちの主張にも周囲は耳を傾けてくれるようになる。

事後挽回の危機管理で失敗する多くのパターンは、事後挽回策がほどほどのものであるにもかかわらず、自分たちの主張だけはしっかりとするやつ。これは自分勝手な言い訳にしか聞こえない。最悪な事後挽回の危機管理となる。

今の安倍政権の対応は、この状況になっている。

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.66(8月1日配信)からの引用です。もっと読みたい方は、メールマガジンで!! 今号は《上西議員、森友、加計学園、陸自日報……プロとして危機管理の問題点を論じます!》特集です。

(撮影=市来朋久)
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