パーク・コーポレーション代表取締役 井上英明●1963年、佐賀県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後に渡米。ニューヨークの大手会計事務所に勤務。帰国後、88年パーク・コーポレーションを設立し、89年よりフラワービジネスに参入。「Aoyama Flower Market」などを全国に展開。2006年デザイン・エクセレント・カンパニー賞、07年フラワービジネス大賞、09年ポーター賞を受賞。

そのほかにも青山フラワーマーケット独自のシステムがある。全国に散らばった店舗一軒一軒が、自主的に無駄をなくし収益を上げているのだ。

各店に売り上げのノルマはない。本部から売り上げ目標を課すことはなく、月ごとの売り上げ目標は各店舗の店長自らが設定する。目標を上回ったときのインセンティブや、未達成のペナルティーも一切なし。高い目標設定が義務付けられているわけでもないのに、多くの店長は前年同月より高い目標金額を掲げるという。一体何が店長たちのやる気をかきたてるのか。

「本部が数字をつくって押しつけるのはおこがましい。それより顧客の最も近くにいて、現場に精通している店長に目標設定をしてもらうのが理にかなっています。各店の店長が自然に目標を高く設定するのは不思議なことではないと思っています。人は誰しも向上心を持っていて、一度うまくいったら次はもっといい成績を挙げようと考えるもの。本部ができるのは向上心のスイッチが入る手助けをするだけです」と言うのは井上英明氏。ほかならぬ青山フラワーマーケットを経営するパーク・コーポレーションの創業社長その人である。

「マラソンを3時間半で走る人間に、次は3時間を切れと言っても無茶ですよね。本部で数字をつくるのはそれと同じで意味がないのです。だけど自分で掲げた目標なら努力できる。自分の店の儲けは自分で決めてもらうのが一番いいんです」

「儲けは自分で決めればいい」と言ったのには理由がある。店舗スタッフの給与は歩合制を取り入れており、歩合は店舗の営業利益と連動する。売り上げを伸ばしてロスを減らせば、それがただちに給与に反映されるのだ。

(小原孝博=撮影)