馬脚を現したのは、籠池氏か、安倍首相側か?

▼「四十五十にして聞こゆること無くんば、これまた畏(おそ)るるに足らざるのみ」

もうひとつ、人物を見分けるのに有用な言葉として「四十五十にして聞こゆること無くんば、これまた畏(おそ)るるに足らざるのみ」と論語にはあります。これは、籠池氏の問題とは直接関係ありませんが、40歳、50歳にもなって、周りや世間からたいした評価がされないという人を尊敬する値打ちがないということです。それまでの実績を十分に見極め
ることが大切ということです。人の本質を見抜くのは、どの世界に属していても難しいものです。

『論語を知らなくても使える ビジネス「論語」活用法』小宮一慶(著)三笠書房刊

▼晏平仲(あんぺいちゅう)善く人と交わる。久しゅうして人これを敬す」

最後にもうひとつ、私がとても好きな言葉に「晏平仲(あんぺいちゅう)善く人と交わる。久しゅうして人これを敬す」というのがあります。晏平仲は、とてもよく人と交流する孔子の時代の人物で、この晏平仲と長く付き合えば付き合うほど、人は彼を尊敬しました。人と人の付き合いを長く続けるのは難しいものです。なぜなら長く付き合えば、ボロが出てしまう人が少なくないからです。いわば、馬脚を現すのです。さて、今回の森友学園の騒動でボロを出したのは籠池氏側か、安倍首相側か。それは、これからの事態の進展を見守ればおのずとわかるはずです。

私は、自社の採用などで、人選に迷う時には「昔からの、例えば、小学校時代からの友人はいますか?」と質問することがあります。人を裏切る人は、昔からの友達がいないものです。政治家であれ、経営者であれ、ビジネスパーソンであれ、晏平仲のような人物になりたいものですね。

関連記事
籠池氏「面白すぎる」記者会見の落とし穴
橋下徹"籠池氏の手紙と政府答弁のリスク"
首相に靖国参拝を説得した「昭恵イズム」
『論語』に学ぶ部下が絶対にしてはいけない3つのこと
小宮一慶式“教養・哲学”最速学習法「自分の軸になる古典を読む」