週末の試合に勝っても負けても、顧問は大変
むしろ、辛抱強い人でもいずれストレスが爆発して、その負のエネルギーが子供にぶつけられることもないとは言えません。例えば、よく問題となる体罰はそうした熱意と疲労が歪んだ形で出現した、と捉えられるケースもあるかもしれません。爆発が自分に向けば、若くして精神疾患による退職、最悪は死に至る可能性もあります。
死ぬほど部活そのものに苦悩するかどうかは人によりますが、少なくとも本来あるべき時間を削られるのは間違いありません。他にもやるべきことがある人間にとっては、常識としての土日祝日休みなしの「半強制勤務」は害悪の方が大きい、と胸の中で思っている教師は少なくないでしょう。
仮に倒れない場合も、顧問本人の家庭やプライベートにしわ寄せがいっている可能性は大です。
【5. 顧問を一人の親、一人の人間として見つめると……】
もし自分が親の立場で、子供が土日両日に部活動に行っている間、解放されている気分の人がいたら、どうか顧問とその家族にも思いを馳せて欲しいと思います。
顧問に小さい子供がいても、妻に丸投げか、子供がどこかに預けられているパターンが多いのです(中高の部活動の顧問は、男性が7~8割と圧倒的多数です)。
その子は「うちのお父さんは、きっと僕(私)のことはどうでもいい」と心のどこかで思っているかもしれません。奥さんも、同じように思っているかもしれません。不憫なのはそう家族に思われている顧問の教員自身も、自分の時間がほとんどないということです。いつ家族とゆっくり過ごせる日が来るのか、見通しは暗い。
何といっても、来週もその次も、試合の日まで休日はずっと部活。なら休めばいいといわれますが、下手に休めば周り(特に保護者)が黙っていません。もし休んだ後で次の試合に負けたら、何を言われるかわからない。そう心情を吐露する教師もいます。
そして無事試合に勝てば、次の休日も部活の試合です。そういった犠牲の上に、今子供が土日に通う部活動が成り立っていないかどうか。週末の部活は当たり前という「常識」を今一度見つめ直す機会を、親子間や顧問と親の間で持ってもいいのかもしれません。