損害賠償を争うなら「過失」の立証がカギ
クラブ活動は教育の一環として行われる以上、その活動について顧問の先生をはじめ学校側に、事故の発生を未然に防止する一般的な安全配慮義務がある。
不幸にして事故が起こった場合、医療費や見舞金が、学校を通じて加入する災害共済から受けられる。だがそれに満足することができず、不法行為(民法709条)を根拠に教師や学校に対して損害賠償を請求するには、監督責任を怠ったという「過失」の立証が必要となる。その際は早急に事故現場にいた関係者に接触し、記憶が薄れないうちに証拠を集めなければならない。なお、事故発生について生徒側にも過失があれば、過失相殺により賠償額は減額される。
このような民事責任のほかにも、業務上過失致死傷罪(刑法211条)や過失致死罪(同210条)など、教師個人の刑事責任が追及されることもある。ただその際、死亡事故ともなれば別だが、ケガが軽微な事故では、被害者側が告訴をしない限り、警察は動かないことが多い。なお、過失致傷罪(刑法209条)は被害者の告訴がないと起訴されない(親告罪)。
いずれにしても事故の内容によっては後遺症や障害が残り、医療面での補償だけでは不十分な場合が少なくない。