ほとんどが退学処分罰金刑でも「前科」がつく!
警察庁によると、2008年の薬物(覚醒剤、大麻など)事犯全体の検挙人数は07年比で減ったが、大麻事犯だけは487人も増えて2778人になった。このうち、20代は1503人、10代は227人で、大麻事犯の6割強を若者が占める。
有名大学の学生が大麻取締法違反で逮捕されることもめずらしい話ではなくなっているだけに、自分の子は大丈夫かと不安になってしまう親も多いだろう。もし、わが子が大麻取締法違反で逮捕された場合、どうなってしまうのか。
逮捕されると、本人が学生なら警察からまず学校に連絡されるので、学校側は逮捕された学生に対して何らかの処分を行うことになる。多くは退学処分で、停学処分となるケースは少ない。しかも、成人していれば氏名まで報道される場合もある。
せっかく努力して一流大学に入っても、退学処分となれば土下座して謝っても手遅れなのだ。興味本位から手を出したことの罪の重さをこのとき思い知ることになる。しかもこれだけでは終わらない。
逮捕されると、警察では刑事事件として処理される。起訴されて裁判所で懲役刑や罰金刑の判決が下ることもあるし、執行猶予になる場合もあるが、大麻取締法に規定される罰則は違反形態によって変わり、一様に重い。
例えば、「譲渡」「譲り受けて所持」「使用」では、5年以下の懲役だ。これが営利目的になると、懲役刑は7年以下と重くなる。情状によって200万円以下の罰金に。栽培や海外から種子を持ち込んで逮捕された場合は7年以下の懲役。同じく営利目的であれば10年以下となる。
逮捕された若者の多くは、少量の所持でしかも初犯であることがほとんどのため、有罪となっても、執行猶予がつくことが多い。猶予期間中に再び逮捕されるようなことのない生活を送れば罪は問われない。
しかし、有罪となった以上前科はついてしまう。前科は、戸籍謄本にこそ載らないが、各市区町村が管理する「犯罪人名簿」には記載される。
だから、就職するときに履歴書の賞罰欄に「なし」と嘘を書いても、面接する側は犯罪人名簿まで調べるわけではないのでわからない。ただし、もし前科があることがわかった場合には、履歴書に虚偽の記載をしたことになる。これは解雇の理由にもなるので注意すべきだろう。
逮捕されたわが子をどうするか。これはもう、弁護士に相談するしかない。本人がどのくらいの量の大麻を所持していたか、あるいは吸ったかにもよるが、微量でしかも初犯であるならば、弁護士に警察や検察側と交渉してもらい刑事事件としないで、不起訴処分で終わらせる方法もある。だが、親として何よりも重要なことは、本人に十分に反省させることだ。
※すべて雑誌掲載当時