教師は週末も働く(部活顧問)のが常識なのか?
【4. 部活動の土日祝日実施は「常識」というロジック】
顧問、子供、親。3者の立場で見てきましたが、これらを総合的に考えると、やはり現在の日本では部活動の土日祝日実施は「常識」「当然」となりそうです。とりわけ子供と保護者のニーズが高いので顧問の側は熱意の有無に関係なく、やるしかない。事実上、選択の余地は残されていません。
子供も保護者も歓迎する土日の部活動→子供を育てるのが教員(顧問)の仕事→よって、土日もやるのが当然。
何もおかしな点はないように見えます。
しかし、ここで立ち止まって考えてみます。「常識の前提」におかしな部分はないでしょうか? 論理に穴はないでしょうか? あります。抜けているのは、ずばり「教員の勤務時間」という視点です。
教師は生徒に何かあれば「24時間対応すべし」という理想はわかりますが、物理的に難しいこともあります。また、教師という仕事は、勤務先(自治体や学校法人など)との「契約」で成立しています。
勤務時間内はもちろん、週末も個人の好き嫌いに関係なく仕事に従事するということは、大げさに言えば、自分の生命としての時間の「切り売り」をする行為といってもいいかもしれません。時間の重要性を甘く見てはいけません。時は金なり、どころか、お金よりはるかに価値があるのが時間なのだと、私は考えています。
経済的な富など全てを手に入れたように思える人でも、最後の最後に欲しがるのは「時間」だと言います。働き詰めに働いて地位と財産を築いた人物が、最後には口を揃えて「子供が小さかった頃にもっと○○する時間があれば……」といった発言をすることからも、時間にはプライスレスな価値があると言えるでしょう。
世の中には教師=聖職者というイメージがありますが、教員は決して聖人などではなく、ごく普通の人間です。平凡な人間です。だから、限界はあります。
平日も遅くまで働いて、土日も“滅私”して部活の顧問として無理に働き詰めれば、疲労は蓄積し続け、そのうち倒れてもおかしくないでしょう(教員という職業を選んだ性質上、真面目な人が多く、結果的に本当に倒れてしまう人が多いのです)。