「コンパクトな生活」で快適に暮らす
自著では「コンパクトな生活」という表現を使っている。コピーライターの糸井重里氏が1982年に考案した、西武百貨店の「おいしい生活」をもじったものだ。
元々は相談中に偶然出てきた言葉で、夫婦ともに収入は高く貯金も多いが、住宅購入や教育費で無理はしたくない、収入が大幅に落ちても平気な状況にしておきたい……そんなほどほどの生活スタイルが理想だと聞いて「コンパクトな生活が理想なんですね」と答えると、まさにそれだという反応だった。
このご夫婦は無理に切り詰めた生活を望んでいるわけでは無い。住宅ローンや教育費が固定費となって、多額の支出を賄うために無理して働く状況は避けたいという希望だった。たまの贅沢で高級なレストランに行ったり高い洋服を買うことと、住宅や教育にお金をかけることには大きな違いがある。継続的に支出が発生するか、つまり自身で支出のコントロールが容易かどうかの差だ。
収入が減った時にレストランや洋服は簡単にやめられるが、住宅ローンの支払いや教育費(私立の学校など)の支払いは簡単にはやめられない。それをアドバイスするまでも無く理解をしている、マネーリテラシーの高い夫婦だった。
モノと生き方の関係、お金と生き方の関係、そしてモノとお金と生き方の関係……これは全ての人にとって一生ついて回る問題だ。もちろんここに書いた内容が正解だと押し付けるつもりはない。早い段階でこれらの関係に上手く折り合いをつける方法を身につけられると、ラクな人生を送ることができるのではないかと思う。
2011年にファイナンシャルプランナーのお店・シェアーズカフェを開業。対面では夫婦向けにプライベートレッスンを提供。特に共働きの夫婦へのアドバイスを得意とする。レッスンは一日一組に限定、お客様ごとに最適化したレッスンと適切なアドバイスを組み合わせて高度なコンサルティングを提供中。客観的な視点、リスクを重視した合理的なアドバイスがお客様の支持を得ている。2014年に法人化。シェアーズカフェオンライン編集長も務める。近著に『一生お金に困らない人、死ぬまでお金に困る人』がある。