そして3つ目は、目を覚ましておくのが困難になるような薬を使っていること。アレルギーを抑える抗ヒスタミン薬や抗不安薬、抗うつ薬、パーキンソン病の薬が該当する。

そして、4つ目の原因は、睡眠の質が悪いこと。睡眠の質を落とす代表的な原因は、むずむず脚と睡眠時無呼吸症候群だ。

むずむず脚はその名の通り、寝ているときに脚に不快感が生じるもの。睡眠時に限らず、じっとしているときに症状が出る。発症は人種によって差があり、白人では5~10%ほど、黄色人種では3%前後だ。生活習慣の改善によって治まることもあれば、投薬治療を行うこともある。

心臓病、脳卒中、糖尿病を引き起こす

そして一番怖いのが睡眠時無呼吸症候群。眠り始めて体がリラックスしてくると、舌が落ち込み、気道が狭くなる。気道が狭くなりすぎると、息苦しくなって睡眠が浅くなったり、目が覚めてしまう。気道が狭くなるためにいびきが大きくなる。それだけではなく、さまざまな疾患のリスクにもなる万病の元だ。

まずは不整脈や冠動脈疾患のような心臓病。健康な人であれば、睡眠中に心臓も休息するのだが、息苦しくなると酸素を送り届けようと、脈拍が上がる。つまり心臓が休めないのだ。結果、循環器系の問題が起こり、血圧も上がりやすくなるし、動脈硬化や脳卒中などの、より深刻な病気を引き起こす。さらには糖尿病との関連も指摘されている。

世界的なデータだと、成人男性で4%、成人女性で2%が睡眠時無呼吸症候群であるとされるが、この数字は年齢が上がるにしたがって増え、女性も閉経期以降は、男性とパーセンテージが変わらなくなる。

自覚症状として、朝起きたときに口がとても乾いている人や、朝、胸焼けがしている人も睡眠時無呼吸症候群が疑われる。治療には、まずCPAP(持続陽圧呼吸)療法が挙げられる。睡眠時に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道が狭くなるのを防ぐ。ほかにもマウスピースを使用して気道を確保したり、肥満があるなら減量する、寝酒をしないという生活習慣の改善も効果がある。

睡眠時無呼吸症候群でなくても、夜中になかなか寝付けなかったり、睡眠が浅く、何度も目が覚めてしまったりする人はどうするべきか。こうした不眠にも注意が必要だ。