現場の叩き上げにドンが多い理由

しかし、ドンのほうが力を持ちやすいことも多いのです。専門勢力は高い専門性ゆえに他人を動かせるということ。実際に現場で叩き上げた知識を多く蓄積しているのはドンです。また準拠勢力とは「その人のようになりたい」と思わせる力。身近で親身な気配りを受けたことで、敬意を抱くことはよくあるでしょう。情報勢力とは、情報の量や質での優位さです。これはネットワークの大きさ、太さ、細かさから生まれます。こうしたもののいずれもが、ドンが得意とするところです。以上のように、ドンのほうが他者への影響力を持ちやすくなるのです。

会議で積極的に議論を引っ張っていこうとする人がいる一方、最後に「あの人の意見を聴きたい」と思わせる人がいるものですが、そんな人がドンになっていきます。

往々にして、公式のトップよりもドンのほうが安定して長く権力の座に就くものです。必要なポジションだと割り切って、健全なドンを目指すのも一つの考えかもしれません。

(構成=伊藤達也)
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