「すでに起こった未来」で貧富の格差は広がる
今後、AIやロボットがさらに発達することは間違いありません。それは、先にも触れたように、2極化(貧富の格差)をさらに進めることとなります。そのことが、所得の低い層を中心としたポピュリズムをさらに高めることとなるでしょう。
もうひとつ、今年私が注目したことがあります。
あまり大きくは取り上げられなかったのですが、ピーター・ドラッカーの言葉を借りれば「すでに起きた未来*」が起こったと私が感じたことがありました(*「社会的、経済的、文化的な出来事と、そのもたらす影響の間にはタイムラグがある。出生率の急増や急減は、20年後までは労働人口の大きさに影響をもたらさない。だが、変化はすでに起こった。戦争や飢饉や疫病でもないかぎり、結果は必ず出てくる」(ドラッカー名著集(6)『創造する経営者』))。
それは、スイスで行われた国民投票です。全国民に一律約27万円を毎月支給しようとするものを国民投票に諮ったのですが、結果は否決。しかし、私は、同じようなことが今後世界各地で起こると考えています。
2極分化がさらに進み、ポピュリズムが高まれば、政府は分配を変えることを考えざるを得ないからです。AIやロボットにより職を奪われる人が多数出る一方、それらを使って飛躍的に伸びた生産性を享受する人たちとの所得格差がさらに広がる中で、税という形で高所得者からお金を集め、それを低所得の人たちに分配するということをせざるを得なくなるのです。
いずれにしても、世界規模で社会全体が大転換期を迎えていると思います。2017年にもこれらのトレンドに注目です。