自ら学んで賢くなり続ける人工知能が、今後ますます人間社会に大きな影響を与えるのは確実だ。では、読者の子どもたちが20年後に社会に出るまでにしておくべき勉強は何か? また逆に、やってもムダになる勉強とは何か?

【1. 英語】受験英語はムダ。「四技能」習得の早道は留学だ!

人工知能の進化で近い将来、“自動翻訳マシン”ができるといわれる。よって、英語を含む言語習得の意味はない、との説もあるが、日本興業銀行勤務の後に複数の外資系証券会社で敏腕を振るった岩崎日出俊氏はこう話す。

「英語は、自転車や水泳と同じ。使えないと、キャリア・メイク上不利です。それは、人工知能が発達する未来でも言えることです」

社会がどう進化しても、生きる「基本の道具」としての英語を日本人も身につけよう、ということだ。英語圏の人口は約21億人。世界がぐっと広がり、人工知能いらずで会話も自然に成立する。

大学生が求められる領域は広がり、そのレベルは高まっている。今後、グローバル化が進めば、基本の仕事スキルに加え、英語による外国人とのコミュニケーションの力や組織を問わずどこでも力を発揮できるポテンシャルが問われていくのは確実だ。

こうした背景を見てか、国・政府も小学校の英語必修化や、2020年の大学受験改革(これまでは英語の〈読む・書く〉の2技能を試したが、〈読む・聞く・書く・話す〉の4技能を試す)など、次世代向けの英語教育に着手している。こうなると、現在までの「受験英語」の勉強法がムダなのは明らかだ。文法・単語の暗記や、〈読み・書き〉偏重の学習では4技能の養成ができない。岩崎氏は言う。

「今後、一部の企業だけでなく、英語公用語化は日本人全体に課されるでしょう。その際、子どもにはサマースクールのような、短期でも年間単位でもいいので、10代のうちに留学経験をさせるといいと思います。費用は安くはないですが、いい教育投資になるはずです。ただし、子どもを“薄っぺらな語学屋”にさせてはいけません。教養や別のスキルも合わせてつけないと特に海外の優秀な人とは渡り合えません(後述の「教養」参照)。受験英語偏差値が高かったビジネスパーソンは英語を読む力はあると勘違いしていることが多いですが、実はそれほどでもない。読み込む情報量が少なければ、不利。だから速く読む訓練も十代からさせるといいでしょう」