【3. 教養】中学受験は△。リベラルアーツで哲学を学べ!

人工知能を筆頭にしたデジタル技術の進化を止めることはできない。では、人はそれにどう“対抗”すべきか。岩崎氏は「リべラルアーツを学ぶことだ」と語る。

「人間としての教養を高めることは、企業で働くうえでもこれまで以上に重要になるでしょう。仕事上で何か大事な判断をしなければいけないとき、自分自身の中にある教養や哲学などによってよりよい道を選択することが可能になってきます。不要なノイズ(情報)を適切に排除することもできます。また、豊かな教養をバックボーンとした発言をすることは、企業の中で一目置かれる存在へ近づくことになります。せっかく英語を話せてもコンテンツ(中身)がないと思われると特に欧米の一流の世界ではたちまちバカにされます」(経営コンサルタント会社「インフィニティ」代表取締役・岩崎日出俊氏)

英語やコンピュータを操れても、自分の軸となる教養がないと右往左往してしまうというわけだ。

岩崎氏によれば、お手本とするといい人物の代表は投資家のジョージ・ソロス氏だという。「再帰性理論」と呼ばれる独自の投資理論は、哲学的素養から導き出されている。ソロス氏はもともと哲学者志望だったことが、巨万の富を築いた要因のひとつになったのだ。

子どもには哲学書のような難解な書物はまだ早いだろうが、家庭内における家族の読書習慣があれば、リベラルアーツへの興味関心が高まる可能性は高い。

現状、私立中高一貫校への受験を目指す小学生は都市部を中心に目立つ。前倒し勉強による効果で、高偏差値の大学への合格率や大手企業への就職率も高い。だが、人工知能による社会変化で企業が求める人材像が変わる可能性もある。

年間平均100万円の塾費用や学校の学費を思えば、中高は公立にして、浮いた分を前述の留学費や教養アップのための「投資」に使う選択肢もあるだろう。

岩崎日出俊
経営コンサルタント会社「インフィニティ」代表取締役。22年間の日本興業銀行勤務の後、J.P.モルガン、メリルリンチなどで企業合併・買収などを担当。著書に『残酷な20年後の世界を見据えて働くということ』など。
【関連記事】
人工知能の発達で“消える”職業
人工知能に棋士が負けても悲観しなくていい
脳科学者は「人工知能社会」をどう考えるか?
不老不死も実現!? 恐るべき30年後の世界の全貌
65歳以上が4割、2050年の日本人の働き方