NDAを結んだ企業は20以上!

――スーパーや外食に限らず、パートナーを選定する際に重視されていることはなんでしょうか。
理論と試行錯誤を積み重ねてたどり着いた、非常に甘い自慢のトマトだ。

【田中】現在、20社以上の企業とNDA(機密保護契約)を結んで研究開発をやっていますが、農業経営をしていて感じていることが大きく2つあります。ひとつは、農業の課題が、農業だけでは解決できないということ。もうひとつは、地域の課題が、もうその地域だけでは解決できないという事実です。どうやって業種業態を飛び越えて、地域を飛び越えて、自分たちの抱えてる課題を解決して、農業で地域をより良くしていけるのか、社会をより良くしていけるのかということを、ただ考えているというだけですね。

自分たちだけではできないことも多々あって、それぞれを得意としている方たちと一緒になって取り組んでいく。それが社会的要請ということなのだと思っています。だから業種の垣根を、むしろ積極的に乗り越えていきたいですね。現に、銀行や通信会社、それこそ監査法人からも出向してきてもらったりしています。もちろん、ビジョンを共有してもらえることが大前提です。

――最後に、ぜひファイナンスについてもお聞きしたいのですが、田中社長は元金融マンでいらっしゃることもあり、この問題には詳しいのではないかと思いまして。農業の分野では、日本政策金融公庫をはじめ、普通の産業ではないような融資制度もあったりして、利用できるバリエーションが非常に広いですよね。その辺はどのようにお考えですか。

【田中】他の産業に比べて産業支援的な要素が大きいのは、間違いないですね。国策として選択を増やしてきたというのも事実だと思います。政策を受けて取り組んだことが次につながるかどうか。いろいろな思いがあるでしょうが、それは個々の企業の考え方だと思います。

有限責任監査法人トーマツ
有限責任監査法人トーマツは、日本におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッドのメンバーファームの一員である。監査、マネジメントコンサルティング、株式公開支援等を提供する、日本で最大級の会計事務所のひとつ。
農林水産業ビジネス推進室
農林水産業ビジネス推進室はトーマツ内の農業ビジネス専門家に加え、農業生産法人などの農業者、小売、外食、食品メーカー、金融機関、公官庁、大学他専門機関など外部組織と連携し、日本農業の強化・成長を実現するための新しい事業モデルの構築を推進している。詳細はWebサイト(https://www2.deloitte.com/jp/aff)参照。
(大和田悠一(有限責任監査法人トーマツ)=聞き手 前田はるみ=文・構成 尾崎三朗=撮影)
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