不動産が「負」動産になる前に
兄弟姉妹、親族との話し合い、財産の棚卸しができたら、相続の方針も自ずと決まってくるだろう。それ以外で親世代がやっておきたいのは断捨離だ。モノを減らしておけば、以降の処分がしやすくなる。高齢者施設に入るのなら、その時点で売る、あるいは売るように指示しておきたい。あらかじめ、親の指示があれば処分しやすくなるはずだ。
また、相続をしたら、とにかく早めに売ってしまうことが大事と牧野氏。そうでなければ不動産が負の財産、“負動産”になってしまう。
「かつてのように、家は財産という考え方で後生大事に抱えていると、永遠にまとわりつかれます。売りも貸しも住めもしない住宅に管理の費用を払い、税金を払い続ける羽目になる前に、とにかく早く処分すべきです」
その際、まず当たってみたいのが隣家や近所。住宅は意外に周囲1km圏など近い場所で売り買いされることが多いのだ。
現在の空き家問題は、地方での空き家率の高さから地方の問題と解されがちだが、「東京の空き家率はすでに10.9%、戸数で81万7000戸にも及んでおり、多少の遅い早いはあっても、各都道府県で同じように問題になります。個人にとっての空き家問題は、どう自己防衛するかがポイントになってくるわけです」。
オラガ総研代表取締役。1983年東京大学経済学部卒業後、第一勧業銀行(現:みずほ銀行)入行。その後ボストンコンサルティンググループを経て、1989年に三井不動産入社。主にオフィスビルの買収、開発、証券化業務などを手がけたのち、ホテルマネジメントやJ-REIT開発なども経験。2009年に独立してオフィス・牧野を設立。2015年にはオラガ総研を設立して現職。著書に「なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか」「空き家問題」「民泊ビジネス」(いずれも祥伝社新書)、「2020年マンション大崩壊」(文春新書)、「老いる東京、甦る地方」(PHPビジネス新書)など多数。
オラガ総研>> http://www.oraga-hsc.com/