次はフリーズドライを狙う
――アグレッシブに、「こと京都」は利益率10%という意味合いはなぜでしょう。
【山田】「こと京都」は京都産の九条ねぎに限定しているでしょ。売上げの規模は、せいぜい20億円、30億円が限度。今年から、こと京都の九条ねぎは「こと九条ねぎ」として再度ブランド化します。原種に近い品種だけで生産します。現在は品種改良が進んで本来の九条ねぎからだいぶ離れたものもあるので、再度味の観点から見た九条ねぎを提案し、完全に別物に変えていこうと思ってます。
今、「こと日本」のためにも人を増やして、毎年、13~14人、入れています。過剰人件費ですが、それは目標年の2019年に向けての投資なんです。ですから、「こと京都」が20億円、30億円になったときは、たぶん安定期に入っている。そしたら10%ぐらいにはなるだろうと見ています。
――事業領域をどこまで拡大するかも農業経営者の方々が悩むポイントです。
【山田】「こと京都」に関しては、九条ねぎの生産シェアの約30%を取りたい。その領域のトップに立てる。九条ねぎの商品化はかなり増えてきたので、アッパーゾーンに広げようかな、とも。そういう意味では、まだまだです。六次化の加工については、あらゆる方法に取り組みたい。冷凍技術はすでに採り入れ、来年から出荷します。低温乾燥もしているので、次はフリーズドライ(真空凍結乾燥技術)ですね。ただ、フリーズドライは、投資規模が大きいし、現時点では低温乾燥で十分かな。そのほうが風味も出るからいいのかな。ねぎの一次加工品は、これ以上ない。まぁ、冷凍をやってみて、どれぐらい伸びるか、ちょっと楽しみなんです。
――六次化は積極的に進めたいのですね。
【山田】うーん。六次化というと加工に目がいきがちですが、僕は売り方やと思ってるんです。売り方を変えずに加工したら儲かると思ったら大間違い。売り方を考えて、それまでの売り方より単価を上げることが六次化だと思います。
――六次化に国が補助金を出していますが、半分以上は自己資金。ファイナンスをしなければいけないとなると、よほど売れるものでなければ耐えられませんよね。その競争力の源泉はなんだとお考えでしょうか。
【山田】農産物のブランドが上がっていれば、加工しても売れます。でもブランド力が上がってないのに加工したら絶対に売れない。競争力はないですよ。