目移りするセットに惑わされない
また、新たな料金プランやサービスも注目されている。すでに、ネット回線や携帯電話とセットで契約すれば、電気料金を割り引くプランを打ち出している新電力もある。
「電力と携帯電話のセット販売は、電力自由化で先行する先進諸国では成功例が少ないのですが、日本では盛んですね。携帯電話会社にとって、電力は大きな利潤が見込めない事業ですが、個人だけでなく、家族を丸ごとサービス対象に取り込む狙いなのでしょう」(プライスウォーターハウスクーパース・パートナー 狭間陽一さん)
セットメニューのなかでは、クレジット機能が付いた提携カードの発行も増えるだろう。しかし、元メガバンク支店長の菅井敏之さんは次のような警鐘を鳴らす。
「クレジットカードをつくるたびに、キャッシング信用枠を使うので、その分、住宅ローンなどの借り入れ限度額が減ります。新しいカードに加入するのであれば、ポイントなどに惑わされず、本当に利用価値があるのか、よく検討してからにしましょう」
2016年1月から新電力の小口電力事業が本格始動し、サービスや料金プランの詳細が明らかになった。よく吟味して、最適な電力会社を選びたいものである。
経済ジャーナリスト。1954年、長野県生まれ。経済とお金の仕組みを、わかりやすく解説。『ちょい投資──怖がりだけど欲張りなあなたの投資講座』をはじめ著書多数。
プライスウォーターハウスクーパース・パートナー。業務変革をともなう、数々の大規模システム開発プロジェクトに携わる。PwC電力・ガスシステム改革支援室の室長を務める。
元メガバンク支店長。1983年に三井銀行(現・三井住友銀行)へ入行。中野支店長などを務める。起業後はアパート経営に。著書に『お金が貯まるのは、どっち!?』など。