セブン思考なら――目標は“希望”である
セブン&アイグループも、掲げる目標は高い。01年にATMサービスを主とするセブン銀行(当時、アイワイバンク銀行)を設立。金融庁に提出した計画は、3年で黒字化。前例のない業態であり、銀行業界では本当に黒字化できるのかと危ぶむ声がしきりだった。
不安視する声をよそに、3年目に黒字を実現して、5年目には累損を一掃した。実現困難に思える目標を次々にクリアしていったが、セブン銀行代表取締役会長の安齋隆氏は、「目標を必要以上に意識したわけではない」と振り返る。
「目標や夢は意識しすぎると重荷になって、それに振り回されるようになります。だから、僕は目標を“希望”と考える。そうすれば高い目標にも怯むことなく向かっていけます」
一方、セブン-イレブンの鎌田氏は、目標が適切かどうかはお客様の変化から客観的に判断するという。たとえば最近、家飲みが流行の兆しを見せているが、部下が「家飲み向け商品を開発してこれだけ売りたい」と高い目標を掲げて熱意をアピールしてきても、無条件には承認しない。
「家飲みは何人で飲むことが多いのか、外で飲むのが100なら家飲みはどれくらいなのかといった実態がわかっていないと、適切な目標を立てることはできません。実態を知るには、お客様がお酒を飲んでいる姿を見ないとダメ。それをせず、マスコミなどで報じられる情報を鵜呑みにして目標を立てると、失敗します」
市場の変化を読み取れているなら、高い目標を持たせて挑戦させる。うまくいかなければ計画を見直す。
「お客様の変化をつかんでいるのに目標を達成できないのは、目標が高すぎるせいではなく、計画自体が不十分だったり、計画をきちんと実行できていないから。どこが不十分なのかをチェックして、もう一度挑戦すればいい」
京セラ社長。1978年、同志社大工学部卒。京都セラミック(現京セラ)入社。半導体部品国内営業部長、半導体部品事業本部長などを経て2013年から現職。
セブン銀行会長。1963年、東北大学法学部卒業後、日本銀行入行。2001年にアイワイバンク銀行(現セブン銀行)設立、社長に就任、10年から現職。
セブン-イレブン・ジャパン執行役員オペレーション本部付。中央大学文学部卒。セブンカフェや自社開発商品のセブンプレミアムをヒットさせた。