青森・東京 算数力同じでも大学進学率は40%差

はて、子どもの学力と大学進学率はどういう相関関係にあるのか。図2は、公立小学校6年生の算数B(算数の応用科目)の平均正答率と、大学進学率の相関図です。

学力テストの成績がよい県ほど進学率が高いかと思いきや、そうではありません。むしろ現実は逆で、学力上位3位の県(秋田、石川、福井)の大学進学率は、全国平均よりも低くなっています。また青森と東京は、子どもの算数学力は同じくらいであるにもかかわらず、大学進学率は大きく違っています。

むーん、大学進学に際しては、能力よりも経済力がモノをいうようですね。ここで見たのはマクロな都道府県データですが、個人レベルでも、能力があるにもかかわらず経済的理由で進学を断然する生徒が少なくないことは、よく知られていること。

教育基本法第4条第1項は、「すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」と定めていますが、こうした教育の機会均等の理念は実現されていないようです。

地方に埋もれた才能……。有能な生徒が高等教育を受けられないのは、社会にとっても問題です。日本には、「ヒト」しか資源がないのですから。

そこで法律では、「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない」と定められています(教育基本法第4条第3項)。

「奨学の措置」の代表的なものは奨学金ですが、返済義務のある貸与型なので、教育の機会均等を促すに当たってあまり機能していません。目下、給付型奨学金の導入が検討されていますが、「地方に埋もれた才能」を掬い上げることができるような制度設計にしていただきたいと思います。「卒業後は地元に帰って、地域貢献をする意志があること」という条件をつければ、地方創生にもつながるでしょう。

現在の日本は教育大国で、同世代の半分が大学に進学するといいますが、地域別にみるとものすごい格差がある。全国平均だけを見ていると、事態を見誤るなと感じます。

(図版=舞田敏彦)
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