たくさん売りたければ、むしろ価格を高めに設定すべきである。東京・新宿に「ケンズカフェ東京」という洋菓子店がある。この店のガトーショコラは贈答品として人気で、たびたびメディアでも取り上げられている。ただ、開店当初はおいしいのにまったく売れず、頭を悩ませていた。売れるようになったのは値上げをしてから。当初は500グラム1500円で販売していたが、何度か試行錯誤をしたのち280グラム3000円で売り出したら、飛ぶように売れ始めた。これぞまさにハロー効果。
もともとおいしい商品であることが大きいが、それに相応しい値付けをしたことでブランド価値も高まり、売り上げ増につながった。
ただ、ハロー効果は、効きやすい分野と効きにくい分野がある点に要注意だ。購入時に一生懸命検討する商品を「高関与商品」、そうでもない商品を「低関与商品」というが、ハロー効果は高関与商品のほうが効きやすい。これは高関与商品ほどニーズよりウォンツで買う、つまり感情が判断に影響するからだと考えられる。高関与商品を扱っている場合は、なおさら値下げは厳禁である。
アマゾンジャパン、マスターカードなどでマーケティング・マネジャーを務めた後、2010年より現職。マーケティングに特化したコンサルティングなどに携わる。著書に『「なぜか売れる」の公式』ほか。